捨てるなんて人聞きの悪い
どうしよう、完全に迷った。
バスケ部のみんなと歩いていたのだが、あまりに人が多すぎて玲央ちゃんと繋いでいた手を離してしまったのがそもそもの原因だ。知らない場所ではないけれど、この人混みの中からみんなを探すのは不可能に近い。電話しても誰も気がついていないらしく出てくれない。高校生にもなって情けないとは思うのだけど、今のわたしは泣く寸前の状態。

『れ、お..ちゃ..ん』

いつもの癖で玲央ちゃんの名前を呼んでしまう。彼の名前を呼んだところでどうにもならないことくらい分かっているのに。寂しさを紛らわすためにぎゅっとケータイを握りしめる。

「―――、」

遠くから大好きな玲央ちゃんの声が聞こえた気がした。

『玲央、ちゃん?』

顔をあげて、きょろきょろとまわりを見渡して玲央ちゃんを探していると突然ぐいっと後ろに引っ張られ

「やっと見つけた!」

玲央ちゃんに抱きしめられた。

『玲央ちゃん!!』
「もう、心配したんだから。大丈夫だった?」
『わたし、みんなに捨てられたのかと思った』

誰も電話に出てくれなかったし、と涙声で話す。たぶん、わたしの今の顔はひどいことになっているに違いない。

「捨てるなんて人聞きの悪い。みんなですみれちゃんのこと探してたんだから」

ほら泣かないのとハンカチで涙を拭いてくれる玲央ちゃん。

『玲央ちゃん、ありがとう』

玲央ちゃんに会えてほっとしたのか、わたしは子供のように泣きだしてしまった。


あの子が迷子


「ねー、赤司。レオ姉とすみれちゃんって姉妹みたいだよね」
「小太郎、絶対それを玲央に言うなよ。」
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