気紛れなんかじゃないと言って
「シェリー、起きて」
『ふむっ....』
いつものように同室のミカサに揺さぶられて起きると
『ミ、ミカサ!?どうしたのその髪!』
ミカサの髪が短くなっていた。
昨日まではもっと長かったと思うのだけど、いったい何があったのだろうか。ひとりテンパる私とは逆にミカサはいつも通り落ち着いていた。
「エレンに切ったほうがいいって言われたから」
エレンに?と思いながら、ふと昨夜の会話を思い出す。あ、確かにそんなこと言われていたかもしれない。ミカサの(エレンに関する)行動力にはいつものことながら驚かされる。私は短くなったミカサの髪にそっと触れてみた。
「似合わない?」
『すっごく似合うよ!どんな髪型でもミカサは似合うもの。長くても短くても私は大好きだよ』
ありがとう、と少し照れくさそうに言うミカサが可愛くて自分の顔がにやけるのが分かった。
それから顔を洗い、着替えをして私とミカサは食堂へと向かう。食堂に入るとみんながミカサの髪を切ったことに驚いていた。(特にジャンの驚きっぷりがすごかった)奥のテーブルに座るアルミンを見つけ、私はミカサに断りをいれてアルミンのテーブルに向かう。
『アルミン、おはよう!』
「シェリー、おはよう。本当にミカサは髪を切っちゃったんだね」
私と同じくミカサの行動力にアルミンも驚いているらしい。隣の席を勧められたのでアルミンの隣に座る。ミカサの方を改めて見れば、エレンとジャンがまた言い争いをしているのが見えた。ぼーっとふたりの喧嘩を眺めていると突然、髪を撫でられたので驚いて隣を見る。
『アルミン、急にどうしたの?』
「ん?シェリーの髪も伸びたなと思って」
ゆっくりと私の髪を撫で続けるアルミン。
『私も切ったほうがいいのかな?』
「僕はこのままでいいと思うよ。せっかくここまで伸ばしたんだから」
『そうだけど...』
立体機動装置の使用中に髪が原因で怪我をしたという話を聞いたことがある。訓練中は髪を結ぶようにはしているけれど、、たまにその話を思い出すと切ってしまおうかと思ったりしてしまう。「うーん」と悩んでいるとアルミンがそれじゃあと話を切り出した。
「僕のために伸ばしてくれないかな?僕、シェリーの髪の毛が大好きなんだ」
ね?と首を傾げるアルミン。な、なんだこの可愛い天使は!
アルミンは止めと言わんばかりに私の手を取って覗き込んでくる。
『っ!?(顔、近いよ!!アルミン!!)』
急に込上げてきた恥ずかしさと
煩いくらいの心臓の音に耐えきれなくて
私は奇妙な悲鳴をあげて食堂を飛び出した。
気紛れなんかじゃないと言って
『(ど、どうしよう。まだ心臓の音が煩いよ)』
『(アルミンって、他の子にも同じことしてるのかな)』
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