昔話1
『いいお天気なんだから外に行こうよ』

そう言って談話室のソファーに座って本を読んでいたレギュラスを外に連れ出したのは数時間前の話。今、わたしとレギュラスは中庭にいた。お日様の光があったかくて今にも寝てしまいそうである。そんなわたしの様子を見てか、レギュラスは手元の本に向けていた視線をゆっくりとわたしの方へと移動させた。

「メル、眠いんですか?」
『ん。大丈夫』

実際のところ大丈夫ではない。かなり眠い。その証拠にわたしは先ほどから何回も首をかくかくさせている。無理やりレギュラスを連れ出してしまったので、せめて読書の邪魔しないようにと空を眺めていたのだが完全にあったかい日差しのせいで眠くなってしまったようだ。

目をこすりながら座り直す。すると、前方にセブルス先輩を発見した。

『セブルス先輩ー!』

いきなり大きな声で名前を呼んだせいか、先輩はぎょっとした顔をしてこちらを見た。

「メルとレギュラスか」
『先輩、暇ですか?』
「これが暇なように見えるのか?」

セブルス先輩は両手に教科書をたくさん抱えていて、どう見ても暇そうではなかった。

『暇そうじゃないですね』
「暇そうに見えてたら眼科に行くのを勧めるところだったぞ」

よっこらせっといった感じでわたしの隣にセブルス先輩が座る。あれ。先輩忙しいんじゃなかったっけ。

『先輩?忙しいんじゃ』
「休憩だ」
『は?』
「それなら僕も休憩します」

そう言ってレギュラスが本を閉じた。そして、後ろにあった大きな木に寄り掛かりながら三人で空を見上げる。

『あの雲、ケーキみたいで美味しそう』
「メル、お前はいつも食べ物のことばかりだな」
「セブルス先輩、メルが馬鹿なのは今に始まったことじゃありませんよ」
『レギュラスひどいよ!仮にも恋人に向かって馬鹿とか』

セブルス先輩とレギュラスが揃うと必ずと言っていいほどわたしのことを馬鹿にしてくるけれど、このメンバーでのんびりするのが個人的に1番心地よかったりする。いろいろな話をしているとだんだん会話の速度が遅くなっていくのが分かった。
しばらくすると、両サイドのふたりから返事が帰ってこなくなった。もしや、と思って体を起こして見てみれば予想通りふたりは静かに眠っていた。ずいぶん可愛い顔して寝るんだな、なんて思いながら観察しているとわたしにも眠気が襲ってきた。元の位置に戻って再び木に寄り掛かるとふと、ふたりの投げ出された手が目に入った。

このときのわたしは何を思ったのか
右手でレギュラスの左手を
左手でセブルス先輩の右手を
起こさないようにそっと握った。

両手から伝わってくる温度と
日の光が心地よくて
ふたりの後を追うように
わたしはそっとまぶたを閉じた。


下がりの


「こんなところで昼寝?これは悪戯していいってことだよね」
「スネイプも一緒なんて珍しいね」
「寝込みを襲うのはどうかと思うよ、ジェームズ。...それで、シリウス。君は何をしているんだい」
「レギュラスとメルの幸せそうな寝顔を拝んでるに決まってんだろ!こんなチャンス、滅多にないからな」
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