来週の土日は体育館の設備調整のため珍しく部活が休みだと連絡が入った。
ちょうど青葉城西も部活が無いと聞いたので、これは神様がくれた偶然だと思い、電話帳から彼のアドレスを呼び出して直ぐ様連絡をする。
これはまだ木々が赤く色づいた頃、彼と彼女が出逢って間もない頃のはなし。
She is not live without me
僕の彼女は王子様・番外編1
時間を確認すると約束まであと20分ほどあった。
楽しみのあまり早く来すぎてしまった、と及川は自分の浮かれ具合に嘲笑する。
連絡が入ったのは約一週間前で、思いもよらない出来事で仲良くなった彼女からの誘いに小躍りしたのは言うまでもない。(本当に小躍りして幼馴染みから軽蔑の目を向けられた)
一人で待つことは嫌いだ。
いや、待つことは苦ではない。
『一人で』待つことが嫌いなのだ。
「ねぇねぇ、お兄さん1人?」
これだ。
及川は碧と同じく容姿『は』いい。
一人でいると高確率で話しかけられるが、それをあしらうのに結構骨が折れる。
しかもなぜだか話しかけてくるのは、いわゆる『大人の女性』ばかりで、その化粧や香水の匂いに何かが込み上げてくるのをグッとこらえた。
「ごめんね、お姉さん。これ僕の連れなんだ」
及川がどうやってこの状況を乗りきろうか考えていると、後ろから聞いたことのある声がして女性共々そちらに視線を送る。
「だから彼と遊ぶのは諦めてくれないかな」
そこには碧(らしき人物)がいた。
女性たちは彼女(彼?)を見るととたんにしおらしくなり自分達に背を向けてどこかへと去ってしまった。
「お待たせしました、及川さん」
「……御輿、くん?」
「やだなあ、いつも通り『碧ちゃん』て呼んでくださいよ」
及川の目の前にいるのは、多分待ち焦がれていた人物で間違いない。
だがその完璧とも言える格好に思わず人違いではないかという錯覚に陥ってしまった。
普段(と言ってもまだ2回ほどしか会ってないが)ジャージ姿の彼女しか見ていないからこそばゆい感覚だ。
「さすが雑誌とかに載ってるだけあるね」
「そうですか?及川さんも私服カッコいいですよ」
なんで声をかけられないのか不思議なくらいです。
そう笑う彼女の笑顔は見たことあるそれで、及川はここでようやくこの人物が本当に碧なんだと認識ができた。
「なんでさっき『僕』って言ったの?」
「その方が彼女たちも混乱しなくていいじゃないですか」
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