01

althaea0rosea

ある日のこと。
一瞬の殺意で父親を手にかけました。

「……」
カチ、カチカチ。不規則に点滅する照明の下、広がる血溜まり、動かない死体。
何もかも終わりました。何もかも終わったのだから、自分の人生もさっさと終わらせればいいのに……大乱闘の後だったからもう体に力が入らない。
「なんで、生きてんだ、ろ、わたし」
部屋の角で膝を抱えながら、凶器のナイフを逆手に持ち、周囲の“ゴミの切れ端”を上から突き刺す。一刺し、一刺し、丁寧に。これから私、どうなるんだろう。警察に……連れて行かれるのかな。嫌だな、それだけは。現実逃避のために頭から毛布を被り、床に落ちたゴミをひたすらに刻んでいたら、突然、ガチャと音を立てながら玄関の扉が開かれた。
「……。えっ」
ドアが、開いた――音がした。突然のことだったから、びくっと肩が震えた。あれ、鍵、開いてた?あれ?鍵、閉めなかったっけ?でも、さっきちゃんと確認したような。あれ?
たまたま毛布に開いていた小さな穴から、外の様子を覗き見る。硬直している間に玄関から入ってきたのは、全然知らない男の人だった。
えっと、誰?泥棒さん?それとも……お父さんの知り合い?もしかして、お父さんに会いに来たのかな。でも残念なことに、たった今……。

私が殺しちゃった。

「なんやこれ。オモロ」

その人は、部屋の惨状にぽつりと呟いた。まるでこの家の住人みたいに、玄関の出入口から堂々と中に入ってくるから、目を剥いた。いったい何者なの?本当に誰なんだろう。
誰かは分からないけれど、幸運なことにゴミだらけの部屋の奥にひっそりと身を隠す私の存在に、彼はまだ気がついてはいないようだ。
このゴミ屋敷で、ゴミの中に紛れた、ゴミのような私を見つけることは、少し難しかったのかもしれない。
「……」
私はなるべく音を立てないように深呼吸して、ナイフをお腹の前で握りしめた。

もちろん状況が状況なので、騒ぎを聞きつけた近所の誰かが様子を見に来ただけなのかもしれない、という考察がひとつ。父親の断末魔は凄まじかった。この向かいの家どころか、向こうの通りの家々にすら届いていたかもしれない。
実際、最初は警察官か何かだと思い、むしろさっきの今で早すぎる到着の方に驚いたのだけれど……しかしどういうわけか、素人目に見ても彼の素振りにそんな、「私は公務員です」みたいな気配は感じられず……。いや、実際に警察手帳を見せられたら納得できる格好はしているんだけど。シャツに、スラックスに、革靴だから。

でも、おかしい。絶対におかしい。警察官なら目の前の死体を無視してお家の中を物色しようとなんてしない、はず。それなのに、今家に入ってきたあの不審者は、床中に散らばる血の付いたゴミをやや丁寧に蹴りあげて、タンスを開けて、引き出しを開けて、何かを探しているようだ。
「……」なんだ、やっぱり泥棒さんか。
納得しかけたところで、改めて、は?と首を傾げる。疑問が湧いて止まらない。まず、どうやって入ってきたの?だいたい、泥棒さんならわざわざこんなゴミ屋敷に来なくても、もっと他に入るべき家があるんじゃ?
しかもあの人、目の前の死体に驚愕する様子もなく、通報をする様子もなく、まるで普通の置物みたいに放置しているんだから、どう考えたっておかしかった。
「う〜ん、それっぽいもん、一個くらいあるかと思っとったけど……?」
「……っ、」
急に声を出すから、息が漏れそうになった。
あ、あぶな。口元を手で覆う。

この家……全部でだいたい八畳間。とても狭い。部屋という部屋はない。だからいつも押し入れの中に布団を敷いて寝ている。床はゴミだらけで、とても寝られる場所がないからだ。そんな家で、いったい何を探しているの?
「……ってまずは、死体をどうにかせなアカンな……あーめんど」
 一瞬、彼がこちらを振り向くから、心臓がドクンと波打った。
「……っはぁ……」
大丈夫、バレてない。
父の息の根を止めたあと、落ち着くからと自ら毛布を被っていたのが功を奏したみたい。今そこにいる泥棒さんは、ゴミに紛れている私の存在に未だに気づいていない。学校に行っていた時は教室でも気配を消すのが得意だったから、日頃の習性が役に立ってなによりだ。
……何を安堵しているんだ?私は。
意味不明な状況のあまり、冷静に分析を続けているけれど、きっとあの人はすぐにこの狭い家の探索を終えて毛布の下を暴きに来る。これ、普通にやばい状況なんじゃ?私、なんで、あの人が家に入ってきた時点で逃げようとしなかったのだろう。……。……なんで?
もう何もかも分からない。


その時、泥棒さんは懐から携帯電話を取り出した。ようやくどこかへ通報する気になったのだろうか。あれだけ堂々と物色していながら?変なの……。
「まいど〜アオキさん。チリです。お忙しいとこ悪いんやけど……今話せます?」
爽やかな関西弁が喋り出す。

「そう、あの例の。ボタンに特定してもらったアパートに今来とるんやけど、どうやら出遅れたみたいやわ」
アパートって、ここのこと?
「ほんまも〜、おかしなことにな……お陰でチリちゃんの仕事パ〜なんやけど、どないしたらええと思います?」
……仕事?
「これ、ちゃんと報酬出るんでしょうね。ボスにかけ合っといてくれません?今一緒におるんやないですか?」
……報酬?
通報するには、何か言葉がおかしいような。誰に、何の、電話をしているの?分からない。分からなさすぎて、同じ体勢でいるのにも、じっと様子を覗いているのにも疲れてしまった。目をぎゅっと瞑り、手元のナイフを握り直す。その間にも、彼は電話を続けている。
「もう死んだとこ確認したことやし、帰ってええかな?あとは現場のお片付けだけですもん」
……毛布のせいで、全身が汗ばんでいる。気持ち悪いったらない。
「問題のUSBももう、アオキさんとこの優秀な部下さんたちが回収済みなんやし」
……暑くてダルくて、頭がガンガンしてきた。
「せやから、残ってたんは主犯格の始末だけやったはず……仕事はそれで終いやろ?……え?まだある?」
……早くここから出たいのに。あの人、まだ帰らないのかな。
「はあ、犯人探し。また面倒なことを言うんやなあ……見当もつかんわ、そんなん。アドバイスください、アドバイス」

張り詰めた空気の中、ついにその時はやってくる。

「ん〜、死体の状況?今見るんで、ちょっと待ってくださいね」
泥棒さんは、その場で立ち上がり振り返った。そして部屋のど真ん中に横たわっている父の死体に、ようやく興味を示したように見物を始める。電話の向こうの相手に、状況を伝えようとしているの……?
「せやなぁ、まず、この仏さんは……色んなところに深い傷つくって……怨恨?血が足りんくなったみたいやな」
「……」
「あと、不思議なことに手と足が一個ずつ足りひんようなんやけど、この人元々こうやったっけ?写真と違うような気がせんでもないな」
「……」
足りない部分なら、私の近くに落ちている。
「ありえへんよなぁ、この乱雑過ぎる切り口は、……まるっきり素人のそれや。料理用のでも使ったんと違う?」
「……」
私は、その話し声を聞きながら料理用のナイフを落とさないよう固く握りしめた。

勘がいいんですね。本当に何者なんだろう。
現場を一目見ただけでここまで言い当ててしまうなんて。こんなにも場馴れしていそうな泥棒さんでも……このゴミ屋敷で、ゴミの中に紛れた、ゴミのような私を見つけるのには、時間がかかるものなのか。
しかし、見つかる時は簡単だった。
そりゃそうだ。ゴミの中で頭一つ分不自然に盛り上がった毛布を一枚めくるだけなんだから。

「にしても、こんだけゴミが多いと、凶器一個探すのも一苦労やんなぁ。よくこないなところで人が生活できるもんや」
「……」
ほんと、その通りです。
「ポピー連れて来んで正解やったわ。ずっとここにおったらチリちゃんでも気ィ狂うで……。 ……さてと」

近づく足音。ブーツの音。
たったの五歩。それだけで、部屋を移動するのには十分だ。



「……」

勢いよく毛布が取り上げられた時、彼は私の存在にようやく気づいて、その場でほんの少し硬直した。驚いたような、驚いていないかのような、どっちとも取れる薄い反応。むしろ私のリアクションの方が大きかった。
「……あ、……」
「……」
……あれ?女の人?
遠目だと男性らしい体つきに見えたけど、近くから見たらなんとなく違和感が。
いや、いやいや、そんなことより……どうしよう、ついに見つかってしまった。この、へんな謎の……やけに顔と身なりが整った人に。
彼(彼女?)は私が両手に握りしめる赤黒いナイフと、周囲の“ゴミ”を一瞥する。立ったまま冷静にこちらを見下ろす赤い瞳が、強く、強く印象に残った。
「あんたか。“これ”、やったん」
「……え、……と……、あ、」
「もしも〜し」
私の言葉を待たず、すぐに電話口に戻ってしまう。
「アオキさん、おったおった。普通におったわ。今目の前にいてます。これで犯人探しの必要ないな?」
「……あ、の……」
「え?ああ、例の一人娘やないんですか?近所の高校の制服着とるし。……動機?んなこと知りませんがな。反抗期とちゃいますの」
「……、……」
「それより、この子の処遇はどうすればええですかいな。……はあ?“好きにせえ”?……分かった分かった、好きにすればええんやな」

泥棒さんは、雑とも丁寧とも取れるよく分からない口調で「失礼します〜」と軽い挨拶をしてから電話を終わらせた。散乱するゴミを足で掻き分け、私のそばにしゃがみ込んで目線を合わせてくる。
「……、あ、の……」
「怖がらんでええよ。肩の力抜きや」
え、笑った。
その人は、気前のいい笑顔で笑った。
ついに存在が知られ、ビクビク震えながら何をされるのかと身構えていたから、驚いて目を見開いてしまう。
「あのな。君のお父さん、今朝方うちらんとこの馬鹿共を上手い具合に出し抜いて、組織の機密情報を持ち出しよったんや」
「……」

 ?

「せやから“主犯”の片付けをしにここまで出向いたんやけど、代わりにやっておいてくれてたみたいで助かるわ〜。手足ちぎってミンチにまでする必要はなかったけど、顔潰さんかったのは親切やな。まあ礼言っとくわ」
「……??」
「他に、共謀の疑いにあるもんは既に信頼のアオキさんらが始末してくれたみたいでな。つまり、現状、部外者でこの件を知る生き残りはあんただけや。今、うちが詳細を話してしもたから」
「……」

途中から何も話が入ってこなくなった。

「アオキさんはあんたの処遇はうちの一存で、って言っとったけど、その前にちょっと聞きたいことがあんねん」
「……?え、と?」
「……ああ、何が何だか分からんって顔しとるな。ここまでで質問は?」
質問もなにも、話があまり入ってこなくて、今何を説明されたのか半分も理解できていないのだが。目をぐるぐるさせながら、口を開く。
「……あ、の、まず……だれです、か?」
「ん?」
「ど、泥棒さんじゃ、ないん、ですか?」
「泥棒?こんなオンボロアパートに入る謙虚な泥棒がおるん?」
「……え、?と……それは、……」
さっき自分であれだけ物色しておいて何を言うんだろう。私の質問に、少し退屈そうな顔をしながら、手袋をはめた手の人差し指で、自分の長い髪の毛をくるくると遊ばせている。
「さっきうちが探しとったんは、君のお父さんが何か他に隠し持っとらんか念の為確認しただけや」
「か、隠し持つって……なに、を?」
「たとえば……マフィアのえらい秘密とか」

マフィア?

「どうして、お父さんが、そんなもの」
「知らんわ。けどさっきも言うたように、この男はどっか知らん経路からうちら組織の機密情報を持ち出しよった。ほんで、ボスに言われて始末しに来たんやけど……」
赤い瞳が私を見つめている。
「し、始末って……あ、あなたは、殺し屋さんか、なにか……?」

「せやで」

まっすぐ頷かれた。

「正確に言うと、殺しの仕事をたまに任されるってだけなんやけどな。ほんとはもっと楽な仕事がしたいねんけど、うちのボスがうるさいからしゃあないわ」
この人、聞いていないことまで話してくれる。
……そろそろ頭がパンクしそうだ。なに?なんなの?組織?マフィア?殺し屋さん?ただでさえ緊張して上手く喋れないのに、そんなおかしなことを言われたらもう声も出せなくなる。
じゃあ、ここまでの話を整理してみると、私の父親は……さっき私が殺した父親は、この人の言う、組織?を敵に回し、命を狙われた、ということ?
何故、父親がそんな危ないことに足を突っ込んでいたのだろう。……考えてみれば、私には心当たりがあった。


昔から金遣いの荒かった父は、一年前に母が死んだことで歯止めが効かなくなったために、短期間のうちに多額の借金を作り出した。闇金融に片っ端から手を出していたようで、近頃は取り立ての人が頻繁に家を訪ねて来ていたのだ。だからそっち系の人と関わりがあっても、多少は理解できる。
しかし、そのせいで私はろくに家の外にも出られなくなり、奨学金で通うことができていた高校を休むのも余儀なくされ……いくらまとめてもすぐに新しいゴミで溢れかえる、この息苦しいゴミ屋敷の中で、日に日に精神が削られていくのを実感していた。

そして今日、父が邪魔になって殺しました。

そんなタイミングで本業の殺し屋さんがやって来るとは思いもよらず、私は、何か、大変なことをしでかしてしまったのではないか、と狼狽えた。
「わ、わたし、どうなるのですか」
「それを聞こうと思ってたんや。ボタン……ああ、うちの情報屋によると、娘のあんたは今回の事案には無関係。せやろ?まあ“この事態”は予想外やったけど……アオキさんが言うには、生かすも殺すもうちの自由ってことになる」
急に、ナイフを取り上げられた。
「あ」
ずっと私が手に握っていた、凶器のナイフ。

「こんなふうに……ひと思いにな」
「え、」

緑髪の殺し屋さんは、片手の上でナイフを器用に半回転させると、次の瞬間には切っ先を私の喉元に差し向けた。――ひゅ。
ごくり、唾を飲む。背筋に悪寒が走る。今の隙のない卓越された動作だけで、その道を行く人だという事実を簡単に分からせられたような気がした。
「……や、やめ、」
いつの間にか……殺し屋さんは、私の命を見定めるような鋭い目つきで私のことをじっと見物していた。まるで、まるで、さっき死体を眺めていた目と同じだ。
私の命など、この人にとってはとうに軽い。この人にとって、死体もそれ以外も、特に変わりがないんだ。……二つの意味で、喉元に冷たい感覚が襲い掛かる。たとえ指先だけでも抵抗しようものなら、即座に喉を掻き切られると思った。
「あんた、どないして自分の父親殺したん」
ビクッと肩が飛び跳ねる。
「そ、それはっ……その、よく分かりま、せ」
「分からない?」
「だ、だって、……気づいたら、その人はそこで、死んで、いました……」
「あんたが殺ったんやろ?このナイフで」
「そう、みたい、なんですけど……」
殺される。言葉を間違えれば、即座に切られて殺される。
「本当に、勝手に……死んじゃっ、たんです。わた、わたしの、意思じゃ、ない」
「何を腑抜けたこと言うてんの。殺すどころか、手と足バラしてズタズタにしたんは、どこのどいつや。あんたやろ?」
「……う、」
なんで、どうしてこんなに質問攻めにしてくるの。私、なんでこんな目にあっているの。
「こいつになんか恨みでもあったん?」
「い、いいえっ、特に……」
「じゃあ何」
乱雑にナイフを押し付けられ、気が動転して、口走る。
「そ、そんなの……!邪魔だったから、でしかないです、……それ以外に、なにが、あるって言うんですか……」
何も言わない殺し屋さん。それ以上ナイフを押し付けられると痛いのに、腕を掴んでもびくともしない。力が全然、入らない。
「だから、だからっ……。じゃ、邪魔だったから……ゴミと一緒に捨てたくて、でもそ、そのままだと……重たくて、運べないから……どうしようって……だから、小さな“ゴミ”でまとめようと、思って。だって……結局これ、このゴミ、生きてても死んでても、邪魔なことには変わりなくて……どうやってごみ捨て場まで、持って行けばいいのか、考えたら、必然的に、そうなりません……?」
怖くて、怖くて、怖さのあまり、殺し屋さんに問いかけてしまった。どうしよ、怒るかな。でも、言葉を選ぶ余裕なんてなかった。
「あなたは、殺し屋さん、なんですよね。ど、どうやって、いつも……冷たくなった重たいゴミを、どう運んで、いるのですか?」

あまりにも舌足らずなので、そのことに対して不快感を買って殺されてしまうかも……と思った。
でも自分の話せる限りをもって、精一杯思っていることを伝えたら、殺し屋さんはさっきまで冷たい表情だったにも関わらず、今は何故か面白いものを見るかのように口角を少し上げている。ついでに、ナイフの側面で私の顎を撫で上げる。
 父の血と肉片がついているのに……汚らしいものを塗り付けられているようでかなり不快感を覚えた。
「なるほど、あんた……まるで死ぬ気あらへんやん。この状況で死体の処分方法聞いてどうすんねん。おもろいわ」
「……それ、は、」
「まあええわ。好きな方、選んでええよ。死ぬか死ぬまいか。今回はあんたの希望通りにしたるから」
え、と視線を向ける。
返事を促すように、目を細めて首を傾ける殺し屋さん。そう言いながら、結局どちらを答えても殺されそうな雰囲気しかなかったけれど、そんなことより、ナイフで未だに顎を撫でられていることに耐えかねて、文句を言った。
「あの、……あの……」
「なんや」
「その、撫でる、のは……その“汚いの”、が付いたナイフじゃなくて、何か、別のにしてください。わたしはゴミじゃ、ないので……それじゃなかったら、なんでも、いいので、」
そう言いながら、勇気を持って、ナイフを持つ手を控えめに押しのける。
「あと、死にたくないです」
と、殺し屋さんは今度こそ愉しそうに、愉快そうに、大きな笑い声をあげながらナイフをその辺に放り投げた。
「なっはっは!なんやそれ自分!んな態度取られたん初めてなんやけど!?ハァ、おもろいわぁ……あんた、ただもんやないやろ」
「……?」
 急に何に受けているのかよく分からないまま、顎についた汚いのを手の甲で拭う私。その不機嫌な顔がツボにはまったのか、ケタケタと一人笑いをし続けている。怖い。
 ふいに、殺し屋さんは手袋をはめた指で顎をくいっと持ち上げて、至近距離から私の顔を舐めまわすように目を細めた。
「なぁんだ、やけに肝が座っとるやんて思ったら……もうこちら側の人間やね、あんた。あーおもろ」

 その時、私は
 得体の知れぬ怪物と目が合った


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