▼ I ricordi sono stati cancellati.

「…良いのか?」

「もちろん。お好きにドーゾ?」



トライデント・モスキートにより、覚醒していたであろうコナンくんの意識を再び闇の底に沈める。
起きているであろうことは薄々気付いていたけれど、あのマリーナの部屋から出る際に発したあの言葉…。
それに反応したことで、確信した。
ま、途中までは本当に気を失っていたみたいだけどネ〜。

とまあ、そういうことで。
ここではマリーナに嗅がされた睡眠薬が子どもの身体に害が無いか…それを調べるつもりも含めて連れて来た。
本当の意味は…。



「こいつでこの数時間の記憶を消す。良いんだな、使って。」

「だーかーらー。いいって言ってんじゃん。一応俺も、あんたのことはぼちぼち信頼してんだわ。……だから、この子どものためにもさっさとやっちまえよ。」



そう。
ここ数時間の記憶をトライデント・モスキートによって消すため、だ。

小さな子どもがこんな記憶を持っていても、良いはずもない。
だから記憶を消してやった方が、こいつの身のため…ということ。
変に記憶を持って俺たちの世界に首を突っ込まれても、困るだけ。
まあ今回使ってしまえば、2回目からは副作用が酷くなってしまうから使うことは抵抗があるのだけど。

もしまた、コナンくんが俺のことを…俺の一面を見てしまったときは…。



「正面から向き合ってやるしか…、手はねぇかな。」

「あ?なんだ?」

「いーや、なんも。ただの独り言。」



あとはシャマルに任せ、病室を出る。
どうにも俺の発言に疑問を抱いているみたいだが、あいつもマフィアに関わる人間、深く追求してくることはなかった。

さーてと。
俺は綱吉に報告でもすっかなあ。



『殲滅させた!?マリーナを!?』

「ちょ、え、なに、え、おまえ耳元で叫ぶなよ!鼓膜破れるわ!」



人気のない、盗聴される心配もない場所で綱吉に報告くれば、耳元で叫ばれる。
さすがに「鼓膜破れるわ」と言えば静かになったけど、電話の向こうからは呆れたような溜息が聞こえて来た。

どうやらマリーナのことは殲滅させず、俺の性格を考慮してもせめてボスだけは生け捕りにしてほしかったらしい。
おまえ、そう言う大事なことは先に言えよ、言ってくださいよマジで。



『マリーナな不可思議な毒薬になる毒を持っているんですから、そのルートを吐かせないといけないことくらい雄魔さんも解ってくださいよ…。』

「だーからー。悪かったってば。今部下も探ってるし…、許してってばよ〜。」

『許すもなにも、俺は呆れてるんです。何年この仕事をしていると…。』



あー始まった。
綱吉の長いながーいお説教。

ごめんごめんと何度か適当な相槌を打ちつつ、電話をスピーカーにして駐車場に向かって歩みを進める。
あ、これクソ響くじゃん。

この病院に入院してる数少ないマフィア関係者の人たち、煩かったらごめんね。
クレームは綱吉によろしくどうぞ。



『聞いてるんですか雄魔さん!』

「聞いてるってば〜。」



取り敢えず誰かこれ止めて。


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