▼ Sempre, sempre.
結局まあ、いつもの日常だよね。
「今日はなんの事件もなかったなー。」
「歩美たちにくる依頼はいつも落し物探しくらいだもんね。」
「僕たち少年探偵団も、もっと活躍したいですよね!」
「いや平和で良いと思うよマジで。」
今日も今日とて、散歩中、少年探偵団に捕まってしまった俺。
俺はそのまま哀ちゃんが住んでいる、あの阿笠邸に連行されてしまった。
その際にチラリと投げられた視線は、恐らくコナンくんからだろう。
少年探偵団のみんなとお茶を飲んでいるときも、投げられるのはコナンくんからの探るような視線。
あれかな、俺もコナンくんの周りに居る沖矢昴や安室透のこと調べたし、沖矢昴が調べて仲よさそうなコナンくんに余計なこと言っちゃったのかな。
だとしたらお互い様だし、俺もなんとも言えないんだけどさ。
そんなことより、今時の小学生の会話ってこんなもので良いのか。
事件が無かった、と落ち込む小学生なんてなかなかいないぞ。
学生時代の綱吉なんて、何事もないときすげぇ嬉しそうな顔してたし。
むしろ、そんなしょっちゅう事件があってたまるか。
「雄魔さんの関わった事件で、面白かった話しはないんですか?」
「おー!俺聞きてーぞ!」
「歩美も気になるー!」
「おい、オメーら…。」
「面白かった話し、ねぇ…。」
不意に光彦くんから話しを投げられ、元太くん、歩美ちゃんもそれに便乗する。
コナンくんは呆れたように子どもたちを咎めているが、まあそれくらいなら。
とは思うものの、これと言って面白そうな話しというものが浮かんでこない。
まずとして子どもに話せるような綺麗な事件に関わったことなどほとんどなければ、的はずれだったとしても普通に面白いと言える話しも浮かんでこないし。
あれこれ、俺って意外とつまんない人生送っちゃってるやつ?
「俺って結構つまんない奴だから、これと言って思い浮かばねぇなあ…。」
たっぷり考えて言ったのがこれ。
子どもたちは期待に満ちた目を向けていたけれど、それを言えば一気に落胆したように表情が暗くなった。
子どもたちが暗いのは、俺だって嫌だ。
なんとかならないものか、と記憶を遡ってはみるが…これは面白いのだろうか。
ふと思い出したのは、ファミリーの奇数年の誕生日を祝う際に行われる、ボンゴリアン・バースデー・パーティー。
ボンゴレも人数が人数だから、幹部陣は幹部陣、各幹部の部下はそのグループ内でのパーティーではあったのだが…。
いや待て、これ面白いのか?
「まあ事件じゃねーけど、仲間内じゃあ各々の奇数年の誕生日に掟に沿った誕生日祝いをしてたなあ…。」
「へー!どんなのやるの?」
「まあ簡単に言えば誕生日の奴が主役やって、んでその主役のために他の奴らは全員、個人で芸をやるから主役が順位と点数を決めるってやつ。」
勝者にはご褒美(人によっては罰)があるんだぜー、と言ってみれば、子どもたちは「おもしろそー!」と言って落ち込んだ表情から輝いた表情に変わった。
うんうん、子どもはこういう顔の方が全然いいと思う。
あいも変わらずコナンくんは探るような視線を送ってくるけど、それはもう気にしないでボンゴレにある掟という名のへんてこパーティー諸々を話す。
それらを話せば「今度俺らもやろーぜ」と意気揚々に言っていて微笑ましいとさえ思わされてしまう。
こいつらのパーティーは楽しそうだな。
俺らなんて、基本ただの地獄だわ…。
「お待ちかねのケーキじゃよ。雄魔さんも良ければ食べておくれ。」
「わーいケーキだー!」
「ありがとうございます。」
その話しも阿笠博士が持って来たケーキで中断される。
嬉しそうにケーキを持つ子どもたちとは反対に、哀ちゃんは冷めた顔で「博士はメタボなんだからダメよ」なんてオカンよろしく言っていた。
阿笠博士はそれを聞いて「トホホ…」と悲しそうな声を零しす。
買ったのは阿笠博士なのに、とことん可哀想だと思うのは俺だけか。
俺は気にせず食べるけど!
ていうかこの子、本当に子どもかよ。
立派なオカンじゃねぇか。
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