言わずにはいられなかったとか、溢れ出した気持ちを止めることができなかったとか、そんな衝動的だったなら仕方ない。全くそんな状況でなかったのだ。思わずポロっと出てしまった言葉。相当間抜けだったと思う。日誌を書きながら世間話をしている時に言ってはいけないのだ、「好き」という言葉は。


ブー、ブー、と帰宅してから机の上に置いてあったマナーモードを解除していないスマホが振動した。続けて何度か振動するので、マネのグループLINEだろうと思ってスマホのロックを解除して開けばやはりそうであった。
クラス替えのことを報告すればご愁傷様と返ってきたので、面白がってるでしょと続けて怒りのスタンプを送った。その後は心配するような返事が皆からきて、ココで愚痴ってストレス溜めないでね、とも。私が黒尾に振られたことは、たまに合宿する梟谷学園グループのマネちゃんたちだけに話した。友達に話すと面倒くさいことになりそうだったし、そもそも黒尾を好きだなんて話題にも出したことなかったから。

「はぁ……あと1年の我慢か」

明日から始まる新しいクラスでの日々に憂鬱になった。黒尾と違うクラスだったら部活で会うだけだからいいのだけど、1日一緒だと流石に好きという気持ちは萎んでいってはくれない。バレーに専念したいからという振られ方が悪かったのだろう、そういう風に見られないと言われた方が望みはないと諦められたはずだ。バカな私は春高が終わったら付き合ってくれるの?と一瞬思ったが、これが黒尾のいつもの告白の断り方というのは友達から聞いて知っていたから、これからもバレー部のマネージャーをやり続けていくのに気まずくなりたくなくて笑顔で分かったと答えた。
ブー、ブー、とまたスマホが振動したのでマネちゃんかと思ったがどうやら違った。夜久が3年5組というグループを作って招待してきた。夜久も同じクラスということが去年と違って救いだった。2年の時はクラスの子――主に男子――たちが冷やかしで「お前らさっさとくっつけよー」と言ってきたのには辛かった。大会とか合宿前は休み時間のほとんどを部活の話をしていたりで仲が良く見えていたのだろう。実際は全くそういう感情を黒尾の方は持っていなかったのだけど。

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2016.10.30

消えてなくなったらいいのに


 

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