「いやったぁぁぁぁー!!」

 天高く拳を突き上げるニノの横でがっかり落ち込む俺。

「リーダー、俺たちがいるじゃん。」
 松潤が肩を抱き、ぽんぽんと背中を撫でてくれる。翔ちゃんと相葉ちゃんもうんうんと頷きながらあたたかい視線を送ってくれる。

「めちゃくちゃ盛り上がったね。笑」
「そりゃ、あいの隣になるためだからね。」
「えー、カウンターで二人っきりより、テーブルで一緒に食べた方が美味しいよ、きっと。」

 この子はホントに分かってない。いつも6人でいる俺たちが同じ空間とは言え、二人だけで話せることの貴重さを。
 はじけんばかりの笑顔を浮かべるニノを、恨めしい目で見ていると店員さんがやってきて、店内に案内された。


 店内に入ると外で嗅いでたよりも、さらに濃いラーメンの匂いがする。
 油で少し滑る床も、唐揚げを揚げる音も、全てがラーメンへの期待を高めた。

「じゃ、俺たちはこっちね。」

 得意顔のニノがあいを連れてカウンターに腰掛ける。そしてメニューを見ながら楽しそうに話し始めた。

「くっそー、いいなぁ。」
「俺もあっちが良かった。」
「いちゃいちゃしやがって。」

 別にいちゃいちゃしているわけじゃないはずなんだけど、俺たちにはそう見えるくらい羨ましかった。
 すると、メニューを見ていた松潤が立ち上がり、あいとニノのところへ足を進める。

「あい、もう頼むもん決めた? 俺のお薦めはこれかこれ。」
「まだ迷ってたんだ。あー、潤くんのおすすめ、美味しそう!」

 二人の間から顔を出し、会話に混ざる松潤。それを見て、翔くんが「なるほどな。」って呟いた。

「次、誰行く?」
「え?」
「あぁやって、松潤みたいに二人の間に入って話に行けば、二人っきりじゃなくなるでしょ?」

 翔くんはにやりと悪戯っ子みたいな笑みを浮かべた。

「なるほど。いやー、翔ちゃん、ナイスアイデア!」
「はっはっは! そう簡単に二人っきりにはさせないぜ。笑」

「ふふふ。せっかくじゃんけん勝ったのに。」
「ま、仕方ないよね。」

 席に戻った松潤と入れ替わるようにして、相葉ちゃんが席を立つ。
 こちらの思惑に気付いたニノが鋭い視線を飛ばしてきたけど、素知らぬ顔をしてメニューを見ることにする。
 それからしばらく、他のお客さんの邪魔にならないように俺たちの割り込み作戦は続いた。
 
 注文が終わった頃、お客さんが少しずつ帰り始める。俺たちの隣のテーブルの人たちもレジへ向かった。
 それを見た店員さんがすかさず片付けてくれ、あっという間にテーブルが二つくっつけられた。

「ありがとうございます。」
『いえいえ。みなさん一緒に座りたかったみたいですし。』

 笑いを堪えるようにして返してくれた店員さんに、俺たちは顔を見合わせて吹き出す。

「ニノ、あい、席あいたよ。」

 相葉ちゃんが手招きすると、嬉しそうにひょこひょこ向かってくるあいとは対照的に疲れ果てた顔のニノ。

「これで一緒に食べられるね。」
「何なのよ、もうー!」

「作戦がちだな。」
「じゃんけんの意味ないし……。」

 うなだれたニノの頭を撫でてやると、はぁっとため息をついて俺の肩にもたれてきた。

「俺たちの本気を見たか。」
「そんな本気いらない。」

 心底うんざりとした顔をしたニノに、みんなが笑う。確かに30も過ぎたおじさんたちが本気になることじゃないかもしれない。
 でも俺たちにとってあいを含めたメンバーと過ごす時間は、とっても大切でかけがえのないものなんだ。
 だからこそニノも本気で怒ったりはしない。うっとうしそうではあるけれど。

 そしてみんなで食べた松潤おすすめのラーメン。味はもちろん最高でした。

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