夏の花に思いを託して
「それでは、『第一回、夏の花で愛しいあの人に想いを伝えよう選手権』を開催しまーす!!」
「いやいや、突然何ですか?」
「あら、ご存じない? あの有名な大会を。」
「ご存じも何も初めて聞きましたよ。ねぇ、大野さん?」
「いや、俺は知ってた。」
「えぇ!?」
「智くんはそう言ってくれると思ってたよ。」
「んふふ。」
「そこ、いちゃついてないで、ちゃんと説明しろよ。」
相変わらずの雰囲気で番組の1コーナーが始まった。進行役を務める翔くん以外は何も知らされていなくて、みんな戸惑いながらも内容を頭にたたき込む。
「要するに、あそこの5種類の花束から一つを選んで告白すればいいのね?」
「さすがニノ。理解がお早い!」
「おぉ、何だかロマンチックな企画だね。」
ニノの言葉で花束の方向へ視線が集まる。そこには夏に咲きほこる5種類の花束が美しく飾られていた。
「それぞれの花言葉はこちらになっています。」
翔くんが言うと、私たちに花言葉が書いたフリップが配られる。と、私の分だけが回ってこない。
不思議に思って首をかしげると、
「せっかくなんだし、あいへ愛の言葉を贈ろうぜ。翔くんに伝えてもねぇ。笑」
「そりゃあ、いい考え。いやぁ、腕がなりますなぁ。」
「よし! やる気出てきた!」
「えー、俺もやるのかよ。こういうの苦手なんだよな……。」
「ほら、翔ちゃんも選びに行くよ。」
「いってらっしゃーい。楽しみにしてるね。」
みんな私を置いて花束の方へ移動してしまった。突然決まったことだけど、みんなの愛の言葉が間近で聞けるのは嬉しい。
それぞれがどんな花を選ぶのかわくわくしながら時が過ぎるのを待った。
prev /
next