松潤が左手を壁につく。ドンという音が響き、辺りの空気が引き締まる。

「他の男なんか見るな。俺だけ見てろ。」

 高飛車に告げると、頬に口付けた。


「ちょっと、松潤やり過ぎー!!」
「あい固まっちゃったじゃん。」

 智くんはあいの元に駆け寄ると、頭を撫でながら松潤に非難の眼差しを送る。

「だから練習。これくらいで動揺してたら本番困るぜ。」

 そう言うと、してやったりという顔で、悠々とソファに腰掛けた。
 するとあいの頭を撫でていた智くんが、両手を壁につき、あいの進路を塞ぐ。

「大丈夫。俺が守ってあげるから。」

 優しく言って、頭のてっぺんに口付けた。


「何、智くん! 包容力ありすぎ!」
「不意打ちは卑怯だよ。」

 相葉くんは、智くんの腕の中からあいを救い出し、ゆっくりと背中を撫でている。

「俺も練習に参加しとこうと思って。」

 普段はあまり見せない男の顔を見せ、智くんがソファーへ戻る。
 それを見た相葉くんが、右腕をそっと壁へつき、左手であいの頬を撫でる。

「俺が側にいるから。」

 小さな声で囁くと、耳たぶに口付けた。


「相葉さん、距離近すぎでしょ。」
「みんなしてあいを虐めすぎ。」

 俺は相葉くんからあいを引きはがし、手をそっと握る。指を絡めて安心を伝える。

「俺は味方だよって言っとこうと思って。」

 天使みたいな笑顔の裏に、強かな面を見せながら、相葉くんがソファーへ戻る。
 俺は絡めた指をあいの顔の横まで持ち上げ、優しく壁へ押しつける。

「どこにも行かないで。」

 目を見つめて呟くと、額に口付けた。


「翔くん、それはずるいわ。」
「みんな怖かったね、あいおいで。」

 ニノがあいをそっと引き寄せ、ふんわり抱きしめる。

「あいの居場所はここだよって伝えたくて。」

 俺は唇の端だけを上げて笑うと、ソファーへ戻った。
 すると、それまであいの背中に回していた腕を解いたニノが、激しく左手を壁につく。ドンという音が響き渡った後に残るのは静寂。

「お前は俺のもんでしょ。逃がさないよ。」

 低い声で言うと、首筋に噛みつくように口付けた。


「激しいなぁ。」
「嫉妬心、むき出しだね。」

 ニノはあいを後ろから抱きしめ、俺たちに挑発的な目線を送る。

「誰にも渡すつもりないから。」

 一瞬飲まれそうな空気を破ったのは、松潤の笑い声。

「あい、お前、その顔なんだよ。笑」
「ふふ。もう立ってらんないんじゃない? ここ座んなよ。」

 そう言ってソファーをぽんぽんと叩く智くんに導かれるように、ふらふらと歩くあい。ニノに支えられてゆっくり腰を下ろす。

「あいがこんな腰砕けになるのも、珍しいね。」
「それだけ俺らの壁ドンが、威力あったってことでしょ?」

「本気出したら、こうなるんだからね。」
「心臓止まるかと思った。」

 唇を尖らせて、ボソッと呟くあい。そんな姿も可愛いと思ってるなんて言わないけど。

「みんな本気でやるんだもん。練習になんてならないよ。」

 心底疲れたように言うと、はぁっと大きな溜息をついた。

「ドラマ、頑張れよ。」
「そうそう、壁ドン五連続に比べれば楽勝だよ。」

「……あい、俺らも男だって意識した?」
「したした! こんなにカッコイイ人たち知らないし!」

 真っ赤な顔で怒ったように言うあい。普段は意識させないように気をつけてるけど、俺たちだってたまにはそう見て欲しい。

「男には気をつけるんだよ。」

 そういう意味では一番信用ならない男の言葉に、俺は吹き出す。あれだけの独占欲を見せた口がよく言う。
 俺の心を読んだのか、ニノが視線を逸らす。今はまだ暴かないでおくから。

 君の初めてを、他の男に渡すわけ無い。
 俺たちのささやかな嫉妬心。

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