夢と現実の区別がつかないほど、馬鹿じゃないけど
title by 確かに恋だった



「ちょっと、これ知ってた!?」

 いつもは冷静な翔くんが、バタッとドアを開けて入ってきた。その額には若干汗が滲み、手に持った紙袋を差し出しながら、ぜえぜえと息をしている。

「翔くんがそんなに焦るなんて珍しいね。どうしたの?」
「とりあえず、これ見て。」

 ソファーにドカッと腰を下ろすと、持っていた紙袋をゆっくり机に置いた。
 鏡の前で髪の毛のセットをしてた松潤も、床で腹筋をしていた相葉ちゃんも、ゲームに夢中になっていたニノも、そしてさっきまで夢の中にいた俺も、翔くんの只ならぬ雰囲気に、机の周りへ集まった。

「開けるよ?」

 ニノが翔くんに確認すると、紙袋のテープを丁寧に剥がした。そこに入っていたのは一冊の雑誌。俺たちが毎月連載をさせてもらっているものだ。

「今月、あいの番だったよな。」

 松潤の言葉に、相葉ちゃんが頷く。この雑誌は、比較的、俺たちのしたいようにテーマを決めさせてくれるので、毎回メンバーの個性が出る。そのため、みんな楽しみにしているのだ。

「げっ!」

 パラパラとページを捲っていたニノの手が止まり、目を大きく見開く。かと思うと、雑誌をバタッと乱暴に閉じ、机に置いた。そして頭を抱えて座り込む。

「マジかよ……。」
「ぶはっ! 俺も本屋で全く同じ反応したわ。笑」

 少し落ち着きを取り戻した翔くんが、ニノを慰めるように隣へ座り込む。そんな様子を横目で見ながら、次に雑誌を手にしたのは相葉ちゃん。

「そんなすごいのが載ってるの?」

 同じように雑誌を開いて眺めていた相葉ちゃん。ぽかんと口を開けたまま、視線はあるページに釘付けだ。相葉ちゃんの後ろから雑誌を覗き込んだ松潤は、「はぁ?」とドスのきいた声を出した。

「これは、マズイね。」
「ちょ、元さん!!」

 マズイと言いながらも視線は動かさない相葉ちゃんと、苛立ったように目線を動かし、マネージャーを捜す松潤。

「俺にも見せて。」

 言いながら、相葉ちゃんの隣へ移動する。手の中の雑誌に目を遣ると、そこにはあいの姿が。
 1ページ目はいいんだ。顔のアップだから。これは問題ない。いや、可愛いのは問題なのかもしれないけど、今は目を瞑ろう。本当に問題なのは、その隣のページ。

 そこには素肌に男物のYシャツを着たあい。長袖の裾を無造作に捲り挙げた細い腕。一つだけボタンを外した胸元。シャツに隠れるほど短いショートパンツから伸びた白い足。
 コンセプトは『セクシーよりスタイリッシュ』らしい。ちらっと読んだ記事には、『色気だけではなく、大人の女性の格好良さを感じ取って欲しい』と書いてあるが、んなもん色気ばっかり感じるに決まってる。

「これ、どういうこと。」

 思ったより低い声が出て、みんなが俺の方を振り向く。

「だよね。もう、これはダメだ。」
「こんなエロいの雑誌に載せちゃいかんよ。」

「また、このシャツの長さが絶妙なんだよ。」
「ボタンの開け方も完璧だしな。」

 衝撃から復活し、今度はみんなでマジマジと雑誌を見つめる。少しだけ開いた口元も、薄く閉じられた流し目も、計算されつくしていて、まるでアートのようだ。

「キレイだね。」
「それは認める。でもやっていいかは別問題。」

「え、ニノ、自分の家でこんな格好させたいの? 笑」
「馬鹿! させたいけど、まださせたことねーわ!」

「ニノ、本音だだ漏れだから。笑」
「顔も若干赤いよ。笑」

「そりゃ、こんな写真見せられたら赤くもなるよ。」

 投げやりに言い捨てると、疲れたようにソファーへ身を投げ出した。その姿に笑いを堪えているとガチャリとドアを開ける音がして、元さんが入ってきた。

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