僕らの世界は何時も甘い
title by Catch sight of
それはレギュラー番組収録前の楽屋でのこと。ゲストの方が、前の仕事の都合で少し遅れると連絡が入ったため、普段よりのんびりした空気が流れている。今にも瞼がくっつきそうな智くんに、ピコピコゲームに没頭するニノ。漫画を読む松潤に、雑誌を捲るあい。かくいう俺も日課となっている新聞チェックをしている最中だ。
「ねーねー、暇! 何かゲームしよっ!」
相葉くんの声に、静寂が途切れる。さっきから所在なさげにしつつも何とかやり過ごしていたみたいだけど、とうとう我慢できなくなったようだ。
「確かに、予定外に時間あいたからね。」
見ていた雑誌を閉じたあいが答えた。相葉くんと目が合うと、悪戯っ子のように目が輝いた。
「でしょ? あい、何か面白いこと考えよ。」
相葉くんがあいの隣に腰掛ける。横目でジロリとそれを見たニノが、再び視線をゲームに戻した。
「えー、古今東西とか?」
「あのテーマ決めて話すヤツ?」
「そうそう。例えば『嵐』!」
「『松潤』」
「『智くん』」
「『翔ちゃん』」
「おい、お前ら。メンバーの名前でやったら、6人で終わりじゃねぇか。」
とうとう耐えきれなくなった松潤が、二人に突っ込む。それ、いつ指摘するか俺も迷ってたんだよ。相葉くんが『松潤』って行った時から怪しいと思ってたんだよ。あいも、時々天然だからね。特に相葉くんと絡ませるとその頻度が上がると、俺は見ている。
「えー、じゃあ何のテーマにしたらいいんだよ。」
楽しい遊びに水を差されたとばかりに膨れる相葉くん。
「……魚。」
寝ていたはずの智くんの声が響いた。堪えきれなくなって一番に吹き出したのは俺だ。
「智くん、寝てたんじゃないの? 笑」
「魚って、大野さん超有利じゃないですか。笑」
「コンサートのうちわも、魚偏の漢字増えたもんね。」
「あれ、創作漢字もあって、見るの楽しいんだよな。」
「だからって、歌の出だしとちっちゃダメだよ。」
ニノの突っ込みに、肩を竦めた智くん。この調子だと魚の名前は却下だろうな。
「何か無いかなぁ。盛り上がるテーマ。」
「秋と言えば?」
「アニメの主人公と言えば?」
「海の生き物」
「智くん、魚から範囲広げたんだ。笑」
なんとしても魚に繋げたい智くんに、みんなで笑う。
「『キザな言葉』でいいんじゃない?」
ピコピコと指を動かしながら、あいと相葉くんの間に入り込んだニノが言葉を続ける。
「『好き』とか『愛してる』とか直接的な言葉は無しにして。言われた人は、にっこり笑って『ありがとう。』って返すの。照れて言えなかったら負け。」
「それ面白そう!」
すぐさま反応したのは相葉くん。こういうの大好きだよな、この人。
「俺、嫌な予感しかしないんだけど。」
「翔くん、苦手そう。笑」
「せっかくだから罰ゲームもしようぜ。」
「番組でもないのに罰ゲーム!? ヒリ潤出さないでよー。」
「ははは。じゃあ、負けた人は5人から順にキザな言葉を囁かれるということで。」
「うわー、それはかなり恥ずいね。」
ということで、俺たちの仁義なき古今東西が始まろうとしていた。
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