「手、気をつけて」
 生ハムを智くんに声をかける潤くん。それを後ろで見守る翔くん。料理もそろそろ仕上げだ。

「あー、働いた」
 ソファーにだらんと頭を預けるニノと相葉くんを横目で見て、できた料理をテーブルに運ぶ。

「ほらほら、もうひと頑張り!」
 二人の膝をポンポンと叩いてセッティングを任せる。「はいよっ!」と起き上がって、お皿やグラス、ビールなどが所狭しと並び始めた。

「食べちゃって良い系?」
「いーけい!」
「いいねぇ」
「いいけい!」

 美味しそうな料理とビールに、みんなのテンションも妙なものになってきた。

「これ、ニノちゃん。これおーちゃん」
「まっちゃん、はい!」

 ビールを配りながら、常にない呼び方をするニノと相葉くんを凝視してしまう。

「これはあいちゃんの」
 ふふふと笑ったニノにグラスを渡された。さてはもう少し酔ってるな?

わっしょーい!

 セッティングが整い、みんなで乾杯する。今日一番の笑顔が弾けた。同時に目の前に並んだ料理もどんどん無くなっていく。揚げたての鶏のからあげに色鮮やかなソーセージのトマトパスタ。グリーンサラダに智くんが切った生ハムをのせて。ビールが進むあさりの酒蒸しに、相葉くんとニノの渾身の一品であるもやしナムル。他には私がちょこちょとと作っただし巻き卵や酢の物が並ぶ。

「俺の前で食べて」
 翔くんとニノが、潤くんの作った絶品パスタを相葉くんの前で取り分ける。何やってんだかと微笑ましい表情で見つめる潤くんがとても嬉しそうだった。

「あ、このだし巻きうめぇ!」
「あい、くるんくるん巻いてたもんな」

 笑顔をくれる智くんに笑顔を返す。

「俺が切った生ハムも食べて」
 と口元に生ハムが運ばれてきた。思わずあーんと口を開けると、ちょうどいいしょっぱさがふわりと広がった。

「美味しい!」
 咀嚼してお礼を言う。と、唐揚げの乗ったお箸が伸びてくる。

「俺が揉んだ唐揚げも食べてよ」
 一口サイズを考慮してくれたのだろう。小さめのそれをパクリと口に入れると、サクッとした感触と、ジューシーな肉汁が溢れた。

「俺のナムルも食べるよね?」
 向かいから「あーん」とナムルを口に運んできたのはニノ。もやしのしゃきしゃき感が、爽やかに口に残った。

「パスタも旨いぜ」
 翔くんとニノから受け取ったお皿からフォークに巻き付けたパスタを、潤くんが差し出した。鮮やかな赤を口に含むと微笑みが零れた。

「え、じゃあ俺は……」
 辺りをきょろきょろ見回した相葉くんがビールの缶を手にする。「飲ませてあげる」と私の口元へ近づけると、それを傾ける。金色の液体が流れ込んで、少しの苦みとすっきりした味わいが幸せを感じさせてくれた。


「仕事した後のビールは最高だね?」
「そう思います」

 うんうんと頷く私を横目で見た潤くんが、もぐもぐしながら二人へ尋ねる。

「仕事しました?」
 おいおい、言われてるよと目だけで言う智くんと、あーぁって感じでニヤける翔くん。

「えっ?」
「えっ?」

 絶妙な間で返す二人に笑いが堪えきれなくて、翔くんと同時に吹き出してしまった。

「あー、うまい」
 ビールを口にしてしみじみと言う智くんに視線が集まる。

「ね。幸せだ」
 私も一口飲んで微笑んだ。

「幸せに形があるのなら、こんな形をしてるんだろうね」
 ニノと目が合う。

「どんな形?」
 視線を合わせたまま問いかけると、小さく笑ったニノが隣にいた相葉くんと智くんの肩を抱いた。それが伝染するかのようにお互いの肩を抱き合い、まるで円陣を組んだかのように丸くなる。

「こーんな形」
 満足げな声が耳に届いて、あぁ、私たちの幸せの形は、確かにこうなのかもしれないと胸が温かくなった。

「ニノが酔ってるー!」
 照れ隠しか肩の手を外した相葉くんが、ニノを指差して笑い出した。

「いいじゃん。俺も幸せだよ、ニノちゃん!」
 智くんがニノに抱きつき、ニノも智くんの背中にガシッと腕を回した。固い抱擁が終わり、ビールを一口飲んだニノがグラスを顔の前に掲げて一言。

「ありがとう、2015」

 この言葉が撮影終了の合図だ。


 今日はCMの撮影。それに変わりないけれど、そこで見つけた幸せの形が私の脳裏に焼き付く。

「幸せ……だね」

 一言呟いて微笑んだ。

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