「じゃあ、唐揚げ班はリーダーと翔くん。ナムル班は相葉くんとニノ。俺とあいは適当に他のもの作るってことで。調理開始!」
潤くんのかけ声でみんな一斉に取りかかる。
「結構力いるな」
と言いながら鶏肉を一口大に切り分ける智くんと、手を切らないかとそれをハラハラしながら見ている翔くん。お肉に味をつけるため、調味料を揉み込む時の変な声にみんなの視線が集まる。
「うぅふぉー」
むにょむにょとした感触が何とも言えないのか、思わず出た声に自分でも笑っている。
「揉んで揉んで。しっかり揉んで」
口元だけ笑った智くんと、「くっはー」と妙な声をあげ続ける翔くんの唐揚げ作りは順調だ。
真剣な顔でパスタを茹でる潤くんに、もやしのヒゲとりをするニノ。
「心を無くしてやればいいんでしょ?」
目を瞑ってごまをする相葉くんがどこまで本気なのか分からなくて、笑みが零れた。
「ビール入れちゃえばいいんじゃないの?」
オリジナルを出そうとする智くんに、「いや、書いてある通りで大丈夫です」と音速の速さで突っこむシェフ潤くん。
「ほぉう」
「ふぁ〜い」
叱られたとばかりに可愛らしい返事をするお兄さん方。ニヤニヤしながらやっぱり怒られちゃったと、成り行きを見つめる相葉くんとニノが可笑しくて吹き出してしまった。
「ほら、あい。卵焼き用フライパン、温まったんじゃない?」
気を取られていた私にも潤くんの声が飛んでくる。
「そうだった! ありがと」
急いでだし巻き卵に取りかかった。薄く油を引き、出汁でのばした卵液を入れる。菜箸で気泡が出来ないようにトントン突いたら、手前にむけて巻き込む。形を整えたら、それを向こう側へ押しやる。手前の空いた部分と巻いた卵の下にも卵液を忘れないように流し込んだ。後はこれを繰り返して大きくするだけだ。
何度もしてきた慣れた作業だけど、毎回焼き上がりが違うから気は抜けない。フライパンを真剣に見つめる私の隣に相葉くんが立った。
「さすが! 上手いね。綺麗な黄色!」
私の手元をじっと見つめたかと思うとくしゃりと頭を撫で、冷蔵庫に何かを取りに行った。指を鳴らしながら調理を進める潤くんを伺うように見るニノ。これは何か企んでいる顔だ。
案の定、座って缶ビールをカチンと合わせ乾杯し出した二人。問いかけようとした時、一秒早く翔くんの声が上がった。
「松本さーん!」
目を閉じて、しっかりとビールを味わっていたニノと相葉くんは慌ててテーブルの下に缶を隠す。
「やってます?」
「えぇ!?」と気まずそうに笑いながら顔を背けた二人が、悪戯っ子みたいに見えた。
フランベする潤くんに、「ファイヤー!」「おぉ、すげぇ!」と興奮する年長コンビ。まだまだ終わらない唐揚げ準備中の二人が、またもや隠れてビールを飲む二人を見つける。
「松本さーん!」
「松本さーん!」
それでもビール飲んでます! と核心に触れないのが楽しくて、肩だけ震わせて笑う。
美味しそうにビールを飲む二人に引き寄せられて、智くんもビールを口にした。
「松本さーん!」
仕返しとばかりに声を上げるニノ。即座にサラダに使う葉物で缶を隠した智くんのお茶目さがツボに入った。
「ビールばっかり飲んでんじゃないよ」
とうとうとんだ潤くんの注意を「はい、すみません」と素直に受け止めた相葉くん。こういうところがムードメーカーの所以だ。
「唐揚げって大変なんだな」
やっと下準備を終えた唐揚げを揚げながら翔くんが、ぽろりと零した本音。
「あ、旨いね」
揚げたてほかほかを味見して、熱そうにほくほく食べた智くんが呟いた。
「なんか……楽しいな」
小さく言った言葉は翔くんだけに聞こえたようで、「だな」と一瞬手を握られた。
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