走って走って追いかけた
title by Catch sight of
「さぁ、今回は仁義なき下克上バトルということで、僕らの先輩V6さんが、ついにグループでVS嵐にやってきてくれまーす!」
翔くんの言葉を、俺はジュニアダンスをしながら聞いていた。メンバーのテンションも高く、みんなウキウキしているのが肌で感じられる。
「我々Jr.の時の衣装を着ています」
「懐かしいねぇ」
間髪入れずに返事をする。V6は俺たちにとって、ジャニーズとはどういうものかを背中で教えてくれた大先輩だ。尊敬する先輩方と戦えるというのは、とても光栄であると同時に、言いようのない緊張感をもたらしてくれる。
「絶対勝とうぜ!」
「当たり前じゃん」
相葉くんも頷きながら答えた。ガッツポーズするリーダーと目を閉じて集中するニノ、ゲストがいらっしゃる階段が気になって仕方ないあいと反応は様々だ。
「それではご紹介しましょう。本日の対戦ゲストはこちらの方々です。どうぞー!」
ミュージックが流れ、会場が割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。我らが先輩、V6さんの登場だ。歌衣装に身を包む皆さんの背後に、Jr.衣装を身につけた俺らが並ぶ。その瞬間、バックについていたあの空気が蘇った気がした。
「うわー、この空気、懐かしい!」
同じ事を感じたらしいあいが隣で声を上げた。ただただ先輩の背中を走って追いかけた日々が走馬燈のように頭を巡る。
「いいねぇ。嵐がバックにいるの久しぶりだな」
振り返った健くんが笑いかけてくれた。その声を合図に、テレビだというのにV6が全員振り返りカメラに背中を向ける形で話し出す。
「うん。なんかしっくりくるね」
長野くんが柔和な笑みを浮かべた横で、井ノ原くんが「いぇーい!」とハイタッチを求めてきた。慌ててカメラを移動させるスタッフを気遣うように目線を送る坂本くんはさすがだ。
「元気そうで良かった」
岡田くんがあいの側で話していると、すかさずニノがツッコミを入れる。
「え、何なに。岡田氏とあいって仲良かったっけ?」
その疑問に二人へ視線が集まる。
「仲良しだけど、何か?」
あいの肩を抱いた岡田くんの間にさり気なく割り込もうとした相葉くんが、力負けして返り討ちにされている。
「相葉くん、負けないで! 何とかしてあいを取り戻さないと!!」
翔くんと相葉くんの小芝居にみんなが笑う。あいを離した岡田くんに、井ノ原くんが改めて質問した。
「で、岡田とあいは何繋がり?」
「えっと出身地が近くて、お世話になってるんです」
その答えに俺たちはなるほどと頷いた。関西出身の岡田くんとあい。そこから共通の話題もあるのだろう。
「いや、上京する不安とかはホントによく分かるから、あいが東京来た時から気になっててさ」
「本当にお兄ちゃんみたいに気にかけてくれたの」
ねーと顔を合わせる二人に、会場が温かい空気に包まれた。
「コイツ、楽屋とかでテレビ見ててあいちゃん映ったら超うるさいの。あー、映った−! とか、めっちゃ可愛い。とか止まんないのよ」
健くんに暴露された岡田くんが少し赤くなりながら反論する。
「だって、妹のことは気になるでしょうよ! お兄ちゃんは心配で心配で……」
涙を流すふりをする岡田くんを、「お兄ちゃん……」と慰めるあい。ここで突然煙が上がり、プラスワンゲストの今田さんが割り込んでくる。
「いつまでも呼んでくれないから、勝手に来ちゃったよ」
怒った振りして登場した今田さんに、みんなで頭を下げる。
「改めまして、本日のスペシャルプラスワンゲストは今田耕司さんです」
デビュー当時にV6さんと共演した二組の話題で盛り上がる。やんちゃだった頃の先輩方の話を聞くのはとても楽しかった。
「嵐は、V6のバックダンサーやってたんでしょ? 当時の曲とかまだ覚えてます? 振り付け」
今田さんに聞かれて頭を掻く。どの曲かによって踊り込んだ回数が違うため完成度は変わる。けれども、六人ともV6さんのバックでは何度も踊らせていただいた。きっと大丈夫なはずだ。相葉くんの先導でV6の後ろに立つ。立ち位置を確認していると今田さんから声がかかった。
「参りましょう。まだ踊れるんでしょうか。ミュージックスタート!」
流れてきたのはTAKE ME HIGHER。V6を代表する一曲だ。目線で会話する先輩たちを凝視しながら振り付けを思い起こす。サビが流れてくると体が勝手に動き出すのが分かった。同時に自然と笑顔になる。考えなくてもリズムを刻む足に身を任せて周りを見ると、メンバーも嬉しそうな顔をして笑っていた。
「すごいねー」「まだ踊れるんだ」と振り返って褒めてくださるV6さんに、頭を下げて感謝の気持ちを示す。
「いやー、踊れるもんだね」
心底ビックリした表情で話すリーダーに、横からニノが「ホントにね」と同意した。
「もっと踊れるよね?」
「もちろん! 先輩、後何曲いきますか!?」
ノリノリのあいと翔くん。俺が頷く隣で、「え? まだいくの?」と不安そうに呟いたのは相葉くんだ。
「相葉ー、お前大丈夫か?」
坂本くんに指摘され、「いや、大丈夫っす!」と背筋を伸ばした相葉くんにみんなが吹き出して、ゲームがスタートした。
prev /
next