「以上でインタビュー全員終わりました。ありがとうございました。」
待機場所にいらっしゃる皆様に挨拶に伺うと、すっと立って会釈を返してくださいました。
「お世話になりました。」
「こちらこそありがとうございました。」
「この人、寝てたけどちゃんと働きましたか?」
「うっせぇな。仕事はちゃんとするわ。」
「ふふふ。ちゃんとインタビューしてもらったよ。笑」
「お前らうるせぇー。笑」
嵐さんはいつでもこんな空気なんだなと、上がりそうになる口角に意識して力を入れる。そうでないとにやついてしまうと分かっていたからだ。
「ところで、こんなものいりませんか?」
ニヤニヤしながら二宮さんが差し出したのは、ICレコーダー。状況が飲み込めない私に、櫻井さんが説明してくれる。
「さっきの取材で結成記念日の15日、何をしていたかって質問があったでしょ? 実はこのレコーダーに、その秘密が隠されているんです。」
「翔ちゃん、大げさだなぁ。笑 ただの肉会じゃん。焼き肉会。」
「お前、結論から言うなよー。その日、VS終わって21時から、みんなで集まってご飯食べたんだよね。」
「そうそう。で、その様子がこれに録音されているの。」
「でも、それ、お高いんでしょ?」
「それが今なら税込み……。」
「税込み……?」
「0円!!」
大野さんの言葉に一斉に吹き出す皆さん。とは対照的に開いた口がふさがらない私。頭の中では一生懸命情報を整理しようと努めるも、与えられた物が想像を遙かに超えていて、処理が追いつかない。
「あー、鈴木さん、固まってる。……鈴木さん、大丈夫ですか?」
高橋さんに顔を覗き込まれて我に返る。こんなチャンス逃すわけにはいかない。
「本当に聞かせていただいてもよろしいのですか?」
「いいよ。最初からそのつもりだったし。」
「結成記念日のこと、初めに聞いてくれた雑誌の方に渡そうって決めてたもんね。」
自分たちの幸運に身震いする。一日でも一時間でも取材の時間が遅かったら、こんなことにはならなかったかもしれない。
「がちゃがちゃしてて文字起こししにくいかもしれないけど、すみません。」
「何か質問あったら、事務所までお願いしますね。」
「俺らはどう書いてもらっても大丈夫ですから。」
「かっこよく書いてね。」
「ひゃはは。じゃあ俺もー。笑」
「ということで、今日はお世話になりました。」
「「「「「「ありがとうございました!!!!!」」」」」」
嵐の皆さんは、そう言って丁寧に頭を下げると部屋を後にした。
「お前、すごいの手に入れたな!」
「よし、後片付けは俺たちがやるから、早く会社戻って文字起こししてこい。」
他のスタッフに声をかけられ、まだ呆然とする足を少しずつ前へ進める。
と、その時目に飛び込んできたのは、嵐さんのマネージャーさんである小林元基さん。
「あの、今日はありがとうございます! すごく貴重なものまでいただいて……。原稿ができたらすぐに事務所までお届けしますので。」
一気に話して、深々と頭を下げる。そういえば、嵐さんを見送ってから、初めて声を出したかもなんてぼんやりと考えていた。
「こちらこそ、今日はありがとうございました。そのレコーダー、アイツらの気持ちなんで大事にしてやってください。」
少しだけ伸びたあごひげを触りながら小林さんが話し出す。
「全く、マネージャーにも知らせず、勝手に録音するなんて……。ホントバカなんだから。」
そう言う小林さんのバカには愛が詰まっていることなんて、付き合いの短い私でも分かりました。
「きっとファンの皆さんに喜んでいただけるものにしますので!」
「ぜひ、そうしてやってください。それがアイツら、一番喜びますので。」
もう一度深く頭を下げ、小林さんを見送る。そして近くにいたスタッフに声をかけて会社へ戻る。
私の鞄には大事な大事な宝物。
大好きな嵐さんとファンの皆様に、素敵なものを届けられるよう、私、鈴木、全身全霊を懸けさせていただきます!!
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