誰が見ても愛
title by EVER GREEN



「なんかちょっと緊張するね。」
「ここ数日、忙しくされてるだろうし、早めにお暇しようぜ。」

「ってか、みんな知ってたの?」
「お付き合いされてたのは知ってたけど。」

「結婚はびっくりしたなぁ。」
「俺、歯みがきしてた時に知って、歯ブラシ落としちゃったよ。」

「え、それって床が悲惨なことにならない?」
「気付いたら、そこらへん泡だらけ。笑」

 俺たちが小さな声でこそこそと話しているのはTBSのとある楽屋。自分たちの楽屋ではないので、遠慮しているというのはもちろん、周りに流れる少し緊張感の漂う空気を肌で感じているからだ。

「あ、生放送終わるよ。」

 翔ちゃんの声に、一斉に付けられているテレビへ顔を向ける。そこには俺たちの先輩国分太一くんの姿。
 先日結婚を発表された太一くんへ、直接お祝いの言葉を伝えたいとメンバー全員の意見が一致した。そこで、マネージャーの元さんに調整して貰って、番組後の時間に、ここTBSの太一くんの楽屋で待たせてもらっているのだ。

 この仕事をしていると、どうしても結婚という二文字からは遠くなってしまう。
 周りの友人達が家庭を築き、子どもが生まれ。最近そういう年齢なのか、おめでたいことが続く。大切な友人の幸せそうな顔を見るのは本当に嬉しい。でも、心の片隅が冷えるのはどうしようもなくて。

 だから、結婚を決めた太一くんは純粋にすごいと思うし、男としてかっこいい。
 きっと色んなことを乗り越えたであろう決断に、なぜか涙が滲みそうになる。

「そろそろかな。」

 松潤が呟き、すっと立ち上がる。今日の俺たちはスーツに身を包み、メンバーカラーのネクタイを締めている。きちんとお祝いを伝えたいという思いからだ。
 もちろんあいもベージュのシャツワンピースを着用し、髪もすっきりまとめている。少し太めのブラウンのベルトと、襟元の薔薇のブローチが華やかさを漂わせる。

 廊下がざわめきだした。きっと太一くんが帰ってきたのだろう。
 誰からというわけでもなくイスから立ち、俺たちはドアの方へ体を向ける。

 自然と背筋が伸び、軽く握った手には湿り気を感じた。油断すると早まる鼓動を、意識的に落ち着けるように呼吸を深くする。一瞬目を閉じて顔を上げたとき、目の前の扉が開いた。

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