素敵な一日の始まり



 今日俺たちは番組の収録で早朝の遊園地に来ている。11月3日のCDデビューを記念した企画らしいのだが、詳細はまだ聞かされていない。

「遊園地なんて久しぶりだなぁ」
「俺も、子どもの頃以来だ」

「ジュニアの頃、一回だけ行ったよね? 俺と相葉さんとあいの三人で」
「行った行った! 夢の国! はちゃめちゃで楽しかったなぁ」

「そんなこともあったねぇ。あー、テンション上がってきた!」
「分かる。この景色と空気でワクワクするよね」

 口々に話しながら辺りを見回す。そんな俺たちに声がかかった。

「嵐の皆さん、おはようございます」

おはようございまーす!

「CDデビュー記念日、おめでとうございます!」

ありがとうございまーす!

 声を揃えてお礼を言う。進行はアサリの研究でお馴染みのあの方だ。

「如何ですか、振り返ってみると」

「いや、あっという間ですよ。あっという間。一年一年過ぎるのが早く感じますね」
「それだけ充実してるってことじゃないですか?」

「お陰様で色んなことに挑戦させていただいています」
「支えてくださる皆様には、本当に感謝してます」

「そういうことですよ。ホントに有り難いです」
「ですね。また気持ちを新たに、今後も突っ走りたいと思います」

「今日は、お忙しい皆さんにご褒美を用意しました!」

 その言葉に、「おっ!」「期待しちゃうよ?」とメンバーから声が上がる。

「題して、素敵な時間を演出! 嵐の遊園地デートー!!」

 パチパチと控えめな拍手がスタッフさんから上がる。思わず、俺は突っこんでしまった。

「……もうちょっとネーミング何とかならなかったんですか?」
「ダメですかね? 私、二日間考えたんですけど……」

「二日も!?」
「じゃあしょうがない」

「素敵な時間を演出しちゃおっか」
「いぇーい!」

 気を取り直したアナウンサーが説明を再開した。

「では、今回の企画を説明致します。嵐の皆さんには、遊園地内でのデートを素敵に演出していただきます。お相手はもちろんあいさん!」

「ふふ。楽しみ」

「こちらのカードを引いていただき、書かれたアトラクションをお二人でお楽しみ下さい。その際、お選びいただいたプレゼントもお渡しくださいね」

「えっ! プレゼントって何!?」
「なるほどね。だからあいへの贈り物を持って来いって言われたんだ」

「しかも軽いもの限定でね」
「選ぶとき、超迷ったんだよな」

 戸惑うあいを余所に、納得がいった俺たち。今日のロケであいにプレゼント渡すから、バレないように小さな軽いものを用意しておくよう言われた。それが一ヶ月前。あいがいない隙を狙って、お互い重ならないように選ぶのはなかなか楽しかった。

「うわー。すっごく楽しみ!」
「プレゼント渡してデート開始ってこと?」

「その通りです。自分のあげたプレゼントを身につけた彼女とのデート。これだけで素敵ですよね」

 自分で言って興奮してる様子に、笑みが零れた。確かに自分のプレゼントを纏ったあいとの時間を想像すると、心が浮き足立つ。

「それではカードをお取りください」

 あい以外のメンバーがカードを引き、それぞれのアトラクションと順番が決定した。
 一番手は相葉くんでジェットコースター。二番リーダーでメリーゴーランド。三番が俺で何とお化け屋敷。四番はニノの観覧車。最後が翔くんのパレード。

「ちょっ、何で俺がお化け屋敷なんだよ」
「仕方ない。引いちゃったんだから」

「二人とも恐がりだからなぁ」
「松潤、カッコイイとこ見せるチャンスじゃん」

 人のことだと思って好き勝手に言うメンバー。しやがれの企画でもいっぱいいっぱいだったのに、よりによって滅多に無いあいとのデートでお化け屋敷って。自分のくじ運の悪さを呪いたくなった。

「潤くん、がんばろ?」

 唯一の味方であるあいと頷き合い、気持ちの整理を付けた。

「それでは、素敵な時間を演出! 嵐の遊園地デート、スタートです!」

 開始のかけ声と共に、俺たちの素敵な一日が始まった。

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