花火の下で触れる唇
□ side あい
翔くんとのデートが終わって、集合場所に着いた。そこには少し前まで二人で過ごしたメンバーが待っている。私たちの到着と共に、カメラが回り出して話が始まる。
「遅い遅い。待ちくたびれちゃったよ」
「そんなこと言っちゃって、俺とアトラクション乗りまくってたくせに」
「しー! リーダー、言っちゃダメだって!」
「相葉さん、リーダーとデートしてたんだ」
「俺も誘ってもらったよ」
「何それ、楽しそ−!」
「俺とニノはゲーセンで遊んでたよな」
「いや、燃えたね。レースゲーム」
それぞれ遊園地を満喫したようで、楽しそうに話す顔はいつもより五歳は若く見える。
「それでは、最後にベストデートをあいさんから発表していただきます!」
司会のアナウンサーさんから、今回の企画のまとめが告げられる。
「えっ! 一位決めるの?」
「聞いてないよー」
「みんな一位で良くない?」
「そうそう。楽しかったんだからさ」
口々に不平を言い始めるみんな。そんな声を物ともせず、番組は進行していく。
「では、ベストデートの方の頬に、あいさんからキスをお願いします」
その言葉に、みんなの声がピタッと止んだ。
「……はい?」
「今、何と?」
「キ、キスだって!?」
「マジか」
「ひゃっほい!」
五人五様の反応に笑ってしまう。
「じゃあ、行きます!」
私の声が合図だったかのように、大きな花火が上がった。
「すっげぇー!」
「これは見応えあるね」
「綺麗だなぁ」
「強烈に残りそう」
大きな声を上げるみんなも、目を細めて花火を見上げる智くんも、みんなが微笑んでいる。それを見ている私だってきっと笑顔だ。
「花火をご堪能中、申し訳ないんですが、そろそろ行きますよ」
「いいよって声かけるまで、絶対目開けたらダメだからね」
その声に、みんなは前を向いたまま目を閉じた。
「一位だった人も、そうじゃなかった人も、分かっちゃったら恥ずかしいから反応しないでよ。」
一言念を押すと、それぞれ大きく頷いてくれた。
「それでは、お願いします!!」
今日一日を振り返りながら私は足を進める。
番組の企画とは言え、遊園地で初めてのデート。職業柄、こういう場所でのデート経験のない私たちにとって、きっと一生忘れられない思い出になった。
相葉くんと乗ったジェットコースター、智くんと乗ったメリーゴーランド。潤くんと入ったお化け屋敷。ニノと乗った観覧車。翔くんと見たパレード。どれも大切で順位なんてつけられる訳がない。だからこそさっき伏線は張った。口元だけでふふっと笑いを零す。
相葉くんの隣に立ち、指先を軽く絡める。爪先立ちで頬にキスした。一緒に歩いて行こうね。
そして智くんの隣に静かに行き、手を重ねる。少しだけ引き寄せて頬にキスした。今までも、これからも一緒だよ。
真ん中に立つ潤くんの隣。腕を取りそっと近づく。背伸びをして頬にキスした。共に未来を見据えたい。
次はニノの隣にそっと立った。首にゆるく手を回す。そっと手を添えて頬にキスした。側でただ過ごしていきたいから。
最後は翔くん。隣に立ち、肩に両手を添える。柔らかく微笑んで、頬にキスした。手を取り合って、どんなことも超えていこう。
「いいよ」
約束通り反応を見せずにいてくれたメンバーに感謝する。司会の方の何か言いたげな視線は敢えてスルーした。
花火の下で触れた唇に、私の想いを乗せた。
これからも共に歩いて行こう。そんな決意を新たに、夜空を見上げた。
(んふふふふ)
(あー、俺も相葉さんみたいに単純だったら良かったのに)
(きっと人生楽しいだろうね)
(ちょっと二人とも何? その俺がバカみたいな言い方)
(気づかないでいるって幸せだよね)
(俺はあいがキスしてくれただけで幸せだけど)
(俺だけにして欲しかったっていう男心がね)
(まぁ、それがあいのいいところなんだけどさ)
(順位つけられないくらい楽しかったってことなんだろうね)
(えっ! 俺だけじゃないの!?)
(気づいてないのアナタだけだからね)
(あいも気づかれてるの分かってんだろ)
(そんなあいも可愛い!!)
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