こみ上げる愛しさを君に 翔くんB.D.
正直構えてた。これまでの経験から踏まえて、日付が変わった途端、「ハッピーバースデー!!」ってクラッカーが鳴ったり、ケーキが登場したりするんじゃないかって。けれど、こんな展開は予想してなかったんだ。
それは24日の深夜。年末年始のお祭り騒ぎも落ち着き、レギュラー番組の打ち合わせを行っている時のことだった。23時55分頃に全ての話し合いが終了し、スタッフさんが楽屋を後にした。マネージャーさんから車の準備をしてくるから、しばらく待っていろと言われ、俺たちはテーブルを囲んだソファーに座っていたんだ。
だから、これはあるかなって思った。サプライズ的な何かが。顔には出さないように気を付けて、普段通りを装っていた俺。そして、時計の長針と短針が重なり、日付が変わった瞬間。
俺以外の五人が即座にスマホを取り出し、無言で操作し始めた。その光景は異様とも言える緊張感に包まれ、俺は口を開けてみんなを見ていた。その時、部屋にある六台のスマホが同時に鳴り出した。それはラインのメッセージ到着を告げる音。同時って事は誰かが一斉送信したって事か?
自分のスマホを取り出して画面を操作する。そこに現れ出たのメッセージを見て、俺は言葉通り静止した。
「お」
「め」
「で」
「う♥」
「と」
並んだメンバーからのメッセージ。ただし順番に問題あり。
「おい、あい!!」
「ごめんなさい!」
立ち上がって指摘する松潤に、両手を合わせて拝むように謝るあい。
「あんなに打ち合わせしたのにね」
「どうせテンション上がって、早めに送信しちゃったんでしょ」
気の毒そうな顔を向ける相葉くんと、呆れた表情のニノ。
「まぁまぁ、気を取り直して」
「「「「「翔くん、誕生日おめでとう!」」」」」
その声を合図にクラッカーが鳴らされ、ケーキが運び込まれる。あいが切り分けたものをそれぞれが受け取って食べる。予想外の祝い方に、嬉しくなって自然と笑顔が零れた。
「翔さん、にやけてるよ」
「だって嬉しいもん」
からかうように言うニノへ微笑みを返す。
「ふふ。珍しく素直」
「翔ちゃんは、自分の気持ちは後回しにしがちだからね」
二人に指摘されて、少しだけ頬が熱くなる。そんなつもりはないのだけど、自分の気持ちを外に出さないというのは、この世界で生きていく内に身につけた術なのかもしれないなと頭の隅で思った。
「あいからのハートマークが嬉しかったんでしょ?」
松潤が顔を覗き込んでくる。ずばり言い当てられて動揺する気持ちを何とか立て直す。
「嬉しいに決まってる」
あいへ目線を向け柔らかく微笑む。ありがとうの気持ちを込めたそれは、彼女へしっかり届いたようで、返された笑顔に胸が温かくなった。
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