拾陸
警戒するのが面倒になった
それが今の俺の感想だった
長曽我部殿の所に来てから十日程経ったのだが、長曽我部殿は俺の元へ訪れては面白いものを持ってきた!と言ってからくりを見せてきたりにどうでも良いような話を聞かせては帰っていく。俺を介抱してくれていた男…長曽我部殿の弟の吉良親貞殿は『どんな物が食べたいですか?あ、今の時期なら鰹とかも旨いですよ』など世話を焼いてくる
更には城下町へ出ることを許され、そこでもまたいろいろと良くしてもらう
どうやら長曽我部一族ないし土佐の人々は表裏が無いらしい
目を見ればなんとなくは分かっていたが…うん、警戒してた自分が阿呆らしく思えたのだ
そう、ちょうど警戒を解いたところだったのだ
「Hey!こいつは貰って行くぜ元親!」
「ちょ、ま、えええ?!」
「おい、重治は置いてけよ政宗!」
拝啓、官兵衛殿
俺は今、何故か眼帯の英語を使う男(おそらくこの世界の伊達政宗)に拐われています
…どうしてこうなった
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