拾伍


一瞬ぽかんとして、けれど直ぐに状況を判断する




いや、そもそもヒントはいくらでもあった






目と鼻の先にある海、潮の匂い
俺の傍で苦笑いをしているこの男の纏う色

いくら弱っていたからといって気付けなかったなんて…今孔明と呼ばれていただけに少しショックだ




いやしかしこの大男…もとい長曽我部元親は俺の事を“毛利んトコの兄ちゃん”と言っていなかったか?
いやはや、もう身バレしてるよ…



捕虜として捕らえられたのかと身構えていると長曽我部元親は苦笑いをして「そんなに身構えなくても取って喰おうたぁ思ってねえよ」と言って俺の頭を撫でる。それはもう、かき混ぜるように
…俺、これでも嫁も息子もいるんだけどな…


遠い目をする俺に長曽我部元親は「まあここにいる間はゆっくり養生しときな!」と言って部屋を出ていった。一体何だったのか…



隣の男を見ると、また苦笑した

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