弐
「あっれー?ここホントにどこー?」
草を掻き分けて道無き道を進んで出てきた場所は、見たことのない土地
そして、繰り広げられる戦
「うわあ…まさか戦場に出ちゃうなんて…」
ついてない…
はあ、と息を吐きながら両軍の旗印を見てみる
さて、何処と何処が戦っているのか
「え…?」
見えたのは予想もしていなかったもの
豊臣の家紋
まさか…まさかまさかまさか!!
そんなはず…だって俺、そんなの聞いてないし知らないよ
官兵衛殿だって何も言ってなかったしそんな素振りも見せていなかった
風の噂でも聞いていない
ならこれは何なのだ?
これは、一体_________
「まだ生きていた者がいたか」
突如後ろから声がし、殺気を感じた
「…なっ?!くっ……!」
直ぐに気付いてその場から飛び退いたお陰で命は落とさずに済んだのだが、相手の攻撃も速く、腕を切られてしまった
「うっわー、最悪。見つかっちゃうなんて」
軽口を叩きながらも冷や汗が背中を伝う
俺を斬った相手の戦装束に象られていた大一大万大吉の文字
あれは、石田殿の___
「ほんと、何これ。意味分かんないんだけど」
とりあえず、目の前の彼に殺されないようにしないと
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