陸
時間が経ち、取りあえず寝食出来る場所を確保せねばと宿屋の一室を借りた
「豊臣が織田の傘下ではない…か」
昼間集めた情報を布団の上で思い返してみる
うーん、あまり考えたくはなかったけど…これ夢じゃなくて…
「まーた、異世界かぁ」
今度は転生ではなくトリップ
しかも俺の知ってる史上に沿ったものではないときた
あと、もう一つ
「気になるのは“婆裟羅”っていうのかな」
この世界には婆裟羅者という、一騎当千の力を持った人がいるという
わんさかいる訳ではないらしく、その人達のほとんどが武将や国主らしい
たまに例外がいるらしいが
…あ、武将といえば、あの時会った彼も婆裟羅者なのだろうか
兜は被っていなかったが、あの戦装束は足軽の者とは思えなかったし、石田殿のあの文字があった
俺の予想では、あの人がこの世界での“石田三成”なのかもしれない
俺の知っている石田三成とは、似ても似つかないけど
前田殿も似てなかったなぁ。体格がよくてポニテなのは同じだったけどさ
きっとこの世界の俺、“竹中半兵衛”も似てないんだろうなー
…あ
「この世界にも“半兵衛”がいるなら俺、“竹中半兵衛”って名乗っちゃ駄目じゃん」
ヤバい、こっちの前田殿に名乗っちゃったよ
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