文殊の知恵
××県立■■高校集団失踪事件とは、二〇××年六月○日に起きた、現代の神隠しとも云われる事件である。
事件が起きたのは六月○日の早朝。教室内に居た生徒約十四人が忽然と姿を消した。教師が駆けつけたところ、机や鞄、履いていたはずの内履きが散乱した状態で、教室内はもぬけの殻だったという。
当日の八時十九分頃、失踪した生徒達が居たとされる教室が突如謎の閃光に包まれたのを廊下に居た生徒や登校してきた生徒が外から確認しており、多数の目撃証言があったこと、また一部の生徒が咄嗟に写真を撮っていたことからこのことは全国的に大きく知られることになる。
行方不明になった生徒は件の教室の生徒が十一名、残りは偶然来ていた他クラスの二名と学校側は発表。プライバシー保護のため、失踪した生徒達の名前は非公表。
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一人称一覧
ミヤコ:私 アケビ:あたし セイ:僕
ナゴミ:わたし センジュ:俺
百合木:私・ネネ 染森:俺 香坂:アタシ
梅ノ木:俺 橘:僕 八条:拙者・八条
安藤:オレ バロン:私(わたくし)
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異世界召喚編
一話「目覚め」
冒頭のプロローグは「神」視点。
1-1〜1-3 アケビ視点で他にブレないように修正
└ミヤコとバロンの会話:閑話にするか端折るかして文字数減らす
2『祝福』 ミヤコの能力説明。アケビの能力発動で〆 済
3:アケビ視点と場面転換でミヤコ視点
閑話:ミヤコ視点:一話の伏線(?)回収
4:一週間経過。ご飯と買い出し回。各々朝のルーティン。城下町の描写。ミヤコ視点。桜庭と和のフラグも。
5:訓練回。戦闘特化メイン(あとセイの交神)に、アケビ視点で。翼とアケビのフラグ?
6(閑話?):魔術師と王:バロンと国王の話。混沌を望む王と見届ける魔術師の密談。話してる内容が違う(召喚した人数)
7:お料理回。刃物がヤベー桜庭、安定の青葉。アシスタントに香坂(氷属性)と乱入百合木(味見)
8:染森の工作回と橘の治験回。ムダ毛ネタ。あと身体能力とミヤコの視力について
9:玄人向け八条と性癖について。セイ視点。
10:召喚から一ヶ月経過。伏線。周辺国についてバロンの講座。ラストに呼び止められる主人公組。
11:旅の準備・買い出しと魔導具回。エンプティスの不穏な気配に気づく。
12:水の都に向けて出発。青葉と桜庭共に離脱。
13:一週間経過。一度橙の国で休憩。バロンの協力者と合流。桜庭に和の能力について伝える。
14:3日後・三人で橙の国を出る。道中・見慣れない男を助ける。共に水の都に向かうことに。
15:更に3日後、男の正体(=龍貴人)と都到着。水の国の食客として保護される。魔導具設置・エンプティスに居るメンバーに連絡。
16:その日の夜:龍貴人の長と話す。書庫の開放許可。ミヤコ・エルに出会う。宴会(という飲み会)に巻き込まれることに。交渉なのでミヤコメイン。バロンの正体についても。
17:水の国を案内される。産業などを垣間見つつ、『祝福』持ちの噂を聞く。
18:到着して一週間。エンプティスと通信。喚ばれた当時の天候(スーパームーン)について推論を交わす。ミヤコ、暦と天候から糸口を見つける?
19:エンプティス側。主にバロンと梅ノ木視点。王との謁見。(戦闘員組)魔素地帯に湧いた魔獣討伐の依頼。王を訝しむ香坂(警備会社のお嬢)による推論、百合木の能力発動『悪食(テイスティング)』、王と貴族の企みを聞きつける。
20:書庫でひたすら調べるアケビ達。アケビの大図鑑への登録作業回。セイの喚んだ精霊も登場。ミヤコ・元の世界への帰還方法を見つける。
21:大急ぎで水の都を出る三人。その日の朝、梅ノ木達から魔獣討伐について話を聞く。(「穢れが溜まりすぎると戻れなくなる!」)龍貴人の魔術師も同行。エンプティスを目指す。
22:桜庭達にセイが精霊を飛ばし、そのままエンプティス直行便。魔獣討伐は貴族達が仕掛けた『戻れなくするため』の罠。魔素地帯で奮戦する4人のもとに駆けつけるアケビ達。ミヤコが時間がないと言い、一行は召喚された部屋に向かう。
23:刺客たちをなぎ倒しながら部屋に向かう。召喚されたのは宮殿の使われず久しい研究棟の地下。バロンが色々と秘密の実験をしていた部屋。
24:これなかった桜庭達・そして門を閉めなければならない三人以外を帰還させる。安藤・梅ノ木は「必ずまた戻る」と告げて、香坂達は「必ずまた逢いましょう」と約束して元の世界へ帰還する。
閑話:現代の神隠し事件について『――三ヶ月後、行方不明だった生徒の一部が『戻ってきた』ことにより、世界に魔法の存在が顕になる』
25:エピローグ:エンプティスの王の崩御・それに伴い水の都に吸収が決定。橙の国の第二王子の噂など。三人のこの先の身の振りについて
閑話:世界『A』にて
現実世界に戻った組のその後。
全員に能力が残っている(魔素の関係で弱体化はしているが、十分に人間兵器)ことを把握。ミヤコが持たせたノートを読み、今後の方針を決める。
染森・百合木はもう一つのノートをミヤコの依頼で式部(しきべ):図書委員に届ける。式部、ミヤコの依頼を快諾する。テーマは現代社会にて魔法を再現すること。
全員は基本政府の庇護下にあるものの、不信感が拭えない(プラス、百合木の『悪食』が反応したため)こともあり、結束し最低限の情報以外は黙秘。
八条が自身が現代に続く異能一族『神祇衆』であることを暴露。玄人向けの能力は『祝福』とは別物であることも判明。ミヤコは知っていて情報を隠していた模様。
帰還組は『神祇衆』のもとで匿われることに。各々、一度家に戻り最低限の整理と決別を交わす。
最終目標:「また皆で会う」「もう一度あちらの世界へ行く」
二章:龍貴人と〈竜殺し〉の冒険者
シュヴァリエ・メランコリア登場回。夫も出るよ。
龍貴人は〈竜殺し〉にちょっとビビってるらしい。
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「頭を冷やせ、ってことなんだろうね……」
「ミヤコ……?」
皮肉げに顔を歪めたミヤコの頬にそっと触れる。色を失った顔はひどく冷えていて、アケビは慌ててそばにあったタオルケットをミヤコの体に巻きつけた。
「帰りたい、って思う人がいるようにーー帰りたくないって思う人がいないわけ、ないもんな」
意思の押し付けなんて、元いた世界と変わらないと自嘲気味につぶやく。その痛みを知っているのにーーだというのに自分もそれをしてしまったという自己嫌悪で、今にも体が八つ裂きになりそうだった。
「それは、違うだろ」そう異を唱えたのは橘だった。眼鏡の奥の瞳は険しく細められ、言葉の節々に怒りのようなものが滲み出ている。
「お前は、十分頑張ってた。創作と現実は違うって分かっていながら、それでも俺達の心が折れないようにーー必死に引っ張ろうとしてただろう」
その努力を、自分自身で否定なんてしなくていいんだ。
橘はそう言い、ミヤコの目元にハンカチを押し当てる。
「あの二人の選択も正しいし、お前の選択も正しい。どれが悪いなんて無い。ようは、どう捉えるかの問題なんだから」
「そういえばあの日、なんか月がどうとかニュースで言ってなかったっけ」
「あー、なんか聞いたな。スーパームーンの満月だとかなんとかって」
「確か満月の日って、引力が強いんだったか、なんか関係ありそうだな?」
「そうだね。私達の世界がスーパームーンで満月だった日、通じたこの世界の月がどうだったのかわかれば仮説にはなりそう」
とミヤコ。
「数百年に一度暦が同期する日……因果関係は否定できない……血が騒ぎますなぁ!」
「チュウニ的な我々の血が騒いじゃうなぁ!」
肩を組んできゃっきゃと小躍りするのは安藤と
この世界に元の世界のような十二月はない。だが、それに近い概念は存在する。
この国の暦は大きく四つの月に別れている。
春の月、夏の月、秋の月、冬の月
の四つ。三ヶ月ごとに区分されており、一番目の「春の月」の翌月は「春の第二月」となる。
「そもそも、あちらの世界に魔法が一切無かったら、私たちだってこの世界に来ることはなかったはずなんだよ」
大前提の話である。
「必ず、行くよ。例えどれだけ月日が流れても、またアケビに会いに行く」
だって僕は欲の化身だからね。自分の名前を捩っていたずらに微笑んだ翼(よく)は、澄んだ眼差しでアケビを射抜いた。
ーーそんな目で見られたら、待つしかないじゃない。
「ーーうん、待ってる」
「自由の味を覚えたら、もうすべてがどうでもよくなった。――俺はまた、あの世界に戻るよ。俺が望んだのは、あの世界での生活だから」
「じゃあ、なんで還ってきたのよ」
「自分の尻拭いは自分でしなければならないから」
ハナの問いに、爽介は笑顔で返した。
「そもそもこの面子のなかに頭いいのなんて居ないでしょうに」
「言い方ァ!」
今更何言ってんだとでもいわんばかりのミヤコに、セイの鋭い突っ込みが刺さる。
「ミヤコ、結構口悪いよね」「いやあれ口悪いっていうか毒舌が過ぎない?」と怯える同級生達など目に入らぬ
「私達はそろそろ『異世界召喚』の定義を更新しなきゃいけないのかもしれない」
「と、いうと?」
「まず、現在確認されている異世界召喚は私達のように『別の世界』の住人がこの世界に喚ばれるというもの」
「そうだね」と頷く梅ノ木。
「喚ばれた人間には、内容は利便性はどうであれ『祝福《ギフト》』と呼ばれる特殊能力が付与される。ここまではいいですね?」
ミヤコは部屋の中に居る面々を見やる。
各々が頷くのを確認して、ミヤコの視線は画面へと戻る。
「さて、ここから新しい定義について。これは最近確認できたもので、シュヴァリエ・メランコリア――そう、龍貴人の皆さんにはお馴染み、《竜殺し(ドラゴンスレイヤー)》の異名を持つ、あの国の王女が唯一騎士と示した女性冒険者です。
彼女にはいわゆる『前世の記憶』がありました。けれどそれは、いつからあったものだったのか――メランコリア本人に確認したところ、思い出したのは幼少期、飢えで死にかけていた時だといいます。私はこの『前世の記憶』が蘇ること――これも『召喚』にあたるのではないかと考えました」
「人を召喚するのではなく、記憶が召喚された、と?」
「ええ、そうです。確認しましたが、メランコリアがそうなった年、彼女の国では異世界召喚の儀が行われましたが不発に終わっていました。――伏せられていたので調べるのに時間がかかってしまった」
何事も、推論だけではいけないというのがミヤコがこの世界で学んだことだ。限られた時間で、いかに己の推論を補強する材料を見つけるか――それが《可能性》を《現実》に引きずり降ろすために必要なことなのだ。
「『記憶』だけでは、言ったとしても狂人扱いされて精神病棟へ送られるのが関の山。だから『記憶持ち』は自分がそうであることを隠し、一般人として生きていく。――得意分野であれば、前世知ってるものなら作り出して再現し、生活に普及させてるものも多いでしょう」
「あっ、ドライヤー!」
「そのとおり。まあ普通に魔法の研究でひらめいてできた可能性も十分にあるんだけど、ここはロマンを優先します」
「ロマン」「そう、ロマン」
意外とロマンチストなミヤコは淡々と話を進めていく。
メランコリア
竜殺しの称号を持つ女の子。普段は右目を眼帯で覆う、姿は十代半ばの幼い少女。
眼帯を外すと本来の姿になる。
竜殺しは本意ではなく、暴れる龍が町を襲おうとしたのを食い止めるために戦っただけ。
隠された右目は竜の血を浴びたことで瞳孔が鋭い、魔眼になってしまっている。
また、本来の姿になると、髪が黒髪から毛先に向かい、夕暮れいろのグラデーションになっている。
なお、メランコリアは即席の名字。
伯爵
もともとは織物の有名な衣服を専門に扱う領地の領主。
先代の時に子爵から伯爵に成り上がっている
メランコリアとは彼女のギルドに素材採取の依頼をしたのが始まりで、年下の彼女に執着とも呼べる愛を注ぐ。
年の差は一回りとすこし。魔性の美貌を持つ美丈夫。
元魔法騎士で、当主を継ぐ際引退している。
体の弱い兄に代わり当主になったため、多少の無理はなんとかなる。
皆がいれば、なんとかなるって!
六月某日、十三人の高校生が異世界召喚された。
運悪く喚ばれた十三人は、召喚の際与えられた『』と呼ばれる異能力を片手に生き抜くことを決意する。
どこか怪しい魔術師、傾きかけてる国、欲深い貴族、罪のない無辜の人々の嘆き
夢と現実の間で揺れながら、それでもけして考えることを止めはしなかった。
さまざまな問題に直面しながらも、十三人の少年少女は走り続ける。
たどり着いた末で見つけた世界の真実とは――?