『哀しみ』

哀しみに漕ぎだした
舟の上に広がる
満天の星が瞬く
月夜の世界は広く
私の哀しみを
さりげなく癒す

人となりて数十年
あまりにも長く短い
この世にある哀しみに
最早耐えられず
私は独り漕ぎだす
癒されても変らず
哀しみは常にあり
私を責めるでしょう

可愛がっていた
猫が死んだあの朝の
深い哀しみ
死ねずにいるのは
死んだものへの労り
生きろというメッセージ

月夜の世界は
あまりに広く
けれども私は哀しい

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