チグハグな心と体

次に目が覚めた時はどことも分からない公園であった。

公園には私の他にも小学生くらいの小さな子達が遊具で遊んだり、鬼ごっこをしている。

正直意味がわからず首をかしげる私

そんな私を不思議に思ったのか今まで鬼から逃げていた女の子の1人が私の近くに駆け寄ってきた。

「葵ちゃん、どうしたの?
はやくにげないとオニにつかまっちゃうよ?」

女の子は私と同じように首をかしげ、私と同じ名前を呼ぶと、はやく逃げようよと言って私の手を引いて走り出した。

「え、ちょ、何で鬼ごっこ?」

ぐいぐいと引っ張る女の子に鬼ごっこの趣旨を求めたところ帰ってきたのは

「だって今日はオニごっこってみんなで決めたじゃん
変な葵ちゃん」

驚いたような顔をしたと思ったら、クスクスと可笑しそうに笑った。

そんな女の子をポカンと眺めつつ、自分の手を引く女の子をジーッと観察してみた。

よくよく見てみれば私と女の子の視線はほぼ同じ…つまり私は身体が縮んでいるということになる。

この身体が本当に私の物なのかそれとも別人の物なのかは分からないが、偶然にも同じ名前の葵だ。

正直、何がどうしてこうなった{emj_ip_0793}とツッコミを入れたいのは山々だが、今ここで叫んだら確実に変な子だと思われるので、心の中で盛大に叫んだ

“どこの見た目は子どもで頭脳は大人の探偵だよ!”

まぁ、話の内容全然わかんないけど…


だが、こうなってしまった以上嘆いても悲しんでもどうにもならない。
それならいっそこのまま流されてみようという考えに至った。


その結果、思いのほか鬼ごっこを楽しんでしまった。


空が茜色に色づいてきた頃、お決まりの曲が流れて子どもたちはバイバイと手を振りながら帰っていった…

私はそれを見送り、1人公園のベンチに座った。

私は当然家がどこにあるのかなんて分かるはずもなく、ベンチに座りながらこれからどうするかをじっと考ることにした。

しばらくじっと考えていると、肩にトントンと刺激を感じた。

何だろうと思い振り向くと、プニッ……
頬に誰かの指が刺さっている。
指先から順に視線を上げていくと、ニヨニヨと笑う男の子がいた。

男の子は引っかかったな!と可笑しそうに笑って、ポカンと間抜け顔を晒している私の頭をクシャクシャと撫でた後、帰るぞ!と言って私の手を握って歩き出した。


「葵、今日は何して遊んだんだ?
にいちゃんはクラブのサッカーで、ゴールバンバン決めたんだぜ!」

どうやらこの男の子はこの身体の持ち主の兄のようだ。


「おにいちゃんすごい!
わたしはね、今日はオニごっこしたよ!
足のはやいおともだちがひっぱってくれたからオニにつかまらなかったんだよ!」

スラスラと出てくる言葉に驚きつつも、やはり私はこの子の身体に憑依してしまったんじゃないか…という考えに絶望した。

そんなことを思っている内に家に着いたようでそのまま2人で家に入った。

家の中は予想していた通り、知らない家だった。
兄は私の手を引いたままズカズカと歩き、リビングと思わしき部屋の扉を開けると、ただいまと一言告げた。

私の口も勝手にただいまと言っていて、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

すると、キッチンに立っていた優しそうな女性が料理の手を止め

「陣平ちゃん、葵ちゃん、お帰りなさい」

にっこりと微笑む可愛い人…

ご飯はもう少しで出来上がるから手を洗ってらっしゃいと言われたので2人で仲良く返事をして、手洗い場に行って手洗いうがいを済ませ、キッチンへ戻った。

キッチンに戻るとテーブルの上には美味しそうな料理が所狭しと並べられており、いつの間にか座っていた兄の隣に腰掛け、いただきますと呟いて料理を口に運んだ。

兄のガツガツと食べている姿を横目に、私は久しぶりに食べる家庭の味に自然と頬が緩んだ。





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