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彼の地にさしあぐエル・オー・ディー

※天エドアンソロに寄稿

 この雪山の要塞で私が知り得たものは、そんなに多くはありませんでした。私が知ったのは、異邦の郷土料理たちと、それを食らう自身の腹がどのくらいのおおきさなのかということ、それから、新たに主人のもとに身を寄せたひとりの男が、どうにも自分のことを好いているらしいということくらいでした。
 かつて私には願いごとがありましたが、その願いは、レテの水をふりかけられたように私の心の奥底に潜んでしまっていて、私には、人びとの行く末の導き方も、聖なる杯のありかも、なんだってわからなくなりました。しかし、私を好いた男は、ひな鳥の母を気取るのはさぞ心地よいことでしょう、ときどき私に自身の心臓の音をあたえました。杯のうずめられたその心音が、ふしぎと私は好きでした。
 彼と私の奇妙な日課は、男がやってきてからそんなに経たないうちにはじまりました。世界が滅ぼうかという直前に、男は主人に喚ばれ、杯を飲み干すがままに、雪の晴れた空のもとに残り主人に寄りそって居ました。私は、この世界の軸に願いをかけても果たされることはないと知ったので、その場を立ち去ろうと決めていました。けれども、抱かれたままに耳にする男の鼓動はなにものにも代えがたく、頬を打ち続け、私を引留めてなりませんでした。
 そして今も彼の心音は私を惹きつけてやまないのです。
 彼は私を見つけるたび、そこが人のとおらないところであればどこだって、廊下でも、へやでも、真夜中の食堂でも、私を手招きして冷たい懐に迎え入れました。たった今だって、彼は自室を訪れた私と聖女、そして主人のうち、私だけを残すと、彼らの去る足音が聞こえなくなってすぐに、重たい外套に割れ物でもくるむようにして私の頭を胸へとそっと押しつけました。仮想訓練を終えた主人は昼食をとりにいき、私たちは午後の緩慢な時間をいたずらに過ごしていました。聖女はきっと、私と彼が暇に飽かせて、盤上遊戯に興じていると思っていることでありましょう。
「こうされると、いつも眠くなってしまいます」
 と私はくぐもった声音でいいました。
「寝たってかまわん。減らず口をたたくものだ」
 彼は私を解放することもなくゆっくりといいました。
 男の持ち込んだソファは、日本や中国、あるいはモンゴルやチベット、はたまたトルコか、あらゆる東洋風を煮詰めたような妙な趣味をしていましたが、座り心地というのは、さすがというか、一級品だったので、私と彼は溶けるような背もたれにからだを預けて、無音のへやの中たがいの幽かな息の音を聞き続けていました。
 煙草の香ばしいにおいが染みついたスカーフが額をくすぐり、手持ちぶさたに両手をぶらんと垂れ下げたまま、頭を擦りつけると、男はくすぐったそうに鼻から息を零して笑いました。
「ふふ、眠ってしまえよ。マスターの声が聞こえたならば、どうせおまえは放り出されるのだからな」
「そしたらこの気持ちよいソファで寝ますとも」
「ばかをいえ。追い出すに決まっている」
 だったらどうして自室に招き入れてまで、このあたたかな核を私にあたえるのだろうと、ふいな疑問が頭をもたげましたが、普段のとおり、こうしてしまうと私の思考はふわふわとして、まさに眠る直前のような心地よさに身を委ねたくなるので、今度も疑問は口から出ることなく舌先で霧散して消えました。
「ひどい」
 男はますます上機嫌になって腹を震わせ、私はひとりがくがくと揺れました。
 私が彼の胸をおさえてこれ以上動かないでほしいと示しますと、彼はとたんに静けさを連れてきて、私のつむじを物置のようにして頭を預け、
「心地よいか? 心地よいか、四郎」とまるで眠りを妨げるのを恐れるように、ささやいていいました。
「ええ」
「ああ、それはいい」
 私は彼がなにをいいたいのかとんと理解ができませんでしたが、彼の心音が心地よいことには、ずっと変わりはありませんでしたので、私はなんの疑いもなくうなずきました。
「とわに、蠱惑の絶景にて眠れ、四郎」
「なんですかそれ……ふふ」
 私が笑うと、男の気配が揺らいだように思いました。私たちは、日ごとくり返されるこのまだるこい時間を存外気に入っていたのでした。そしてそれが、「巌窟王」と男を呼ぶ若い声に飛び起きて「マスター!」と今までの時間をまっさらなかったことにするように、彼が去ってしまうのも、もう日々のならわしでありました。
 私の頭はいつものように、ちょうどあつらえられた枕をなくして、こてんと音でも立てそうに、ソファの上に放り投げられました。
 午後の訓練も、男は主人とともにあるのだろうと私は思いました。私は座った姿勢から寝転んだまま目を瞑り、男の禍々しい黒炎がうずめられた杯によってよりけざやかに燃え上がり、次々と仮想敵をなぎ払っていく光景を思い浮かべました。
 彼は、彼の主人をひどく慕っているように見えました。
 いつかの日課のさなかに、私は彼の心音を聞きながら「本当は座に戻ろうと思っていたのですよ」と告白したことがありました。そして「またいずれ会えたなら、そのときもまたこうしてあなたの心臓の音を聞かせて下さいね」とものたまいました。私にしてみれば、そんなものは慣れぬ冗談のようなもので、きっと私のぶつけた言葉が巧くなくとも彼がよい形にして軽口をたたくだろうと思っていたのでした。しかし、彼は、けして主人の前では見せぬようなこわばりを全身に張り巡らせて、ぽつり「俺はもう二度と喚ばれんだろうな」といいました。
「俺の縁を持つのはあやつだけだ」と彼は苦しげに、だがどこか誇らしげな横顔を晒しながらいいました。私は彼がそういったときにも、すでにとろとろと微睡んでいて、杯をのみ込んだ時計の音に聞き入りながら、それはさして深い考えもせずにいったのでした。
「私がふたたびマスターになれば、あなたを喚べるでしょうか」
 そうしたとたん、鼓膜に湧き出る拍動はねじを巻きすぎたおもちゃのようにカチカチと速くなり、私は驚いてそのときばかり顔を上げて彼を見つめました。
「冗談ですとも」
 彼の金の眼が何度もまたたいていました。「いつまでも、冗談が上達しないな」といって、彼はそこから立ち去るどころか、いっそうつよく私の頭を掻き抱いて、そのままふたり穴に落ちでもするようにすとんと眠りに落ちてしまったのでした。
 そんなことはあれっきり訪れませんでしたが、この出来事、やりとりだけはどうしてだかずっと深くに覚えていました。こうしてひとり退屈をもてあますときに、ふとうたかたのように浮き出ては消えていく夢のようにも思い出されました。
 私は彼のいいつけを守らず、彼のソファに寝そべったまま、思わず自身の手の甲をかざしました。そこには朧に浮かぶ痕もなく、もちろん胸に這わせた痕があるわけもなく、ただ、細かい傷ののこったままの皮膚があるだけでした。
「……冗談ですとも」
 彼が戻ってきて、叩き起こされるのを承知で、私はもう一度憎むべき怠惰に身をやつしました。

「ダンス大会」
 戻ってきた男にソファと半身を焼かれてようやく眠気を追放した私に突きつけられたのは、赤色と黒色の配された一枚のビラでした。それを渡した、ことのほか律儀な張本人さえ能面のような顔をして(それが彼の戸惑っているときの表情だとはつい最近の応酬で気づいたのでした)、私の尻をたたくように追い出すと、
「今夜だ」
 とひとこといってぴしゃり自室の扉を閉めました。
 私は仕方なく、廊下でビラに書いてある文字をひとつずつ読んでいきました。日付はたしかに今夜のようで、催しが行われるにしてはめずらしく前もって告知があるものだと思いました。
 ふと顔を上げれば行き交う人びとはみな手に同じビラを持って、ある人は軽い足どりで、またある人はしかめ面で、しかし一様にビラに目を落として歩いていたので、私が男のへやから出てきたことに気づいている人はひとりもいませんでした。
 私はこのビラがおおかた、無邪気な主人とダ・ヴィンチ女史の共謀であろうと思い至ったので、主人のへやに足を向けると、その必要もなく彼が遠くからビラを撒いてやってくるのが見えました。
「天草」
 とじっと見る私に気づいた少年は今にも駆け出しそうな足を止めて、通りすがる人びとにビラを渡すのをやめぬままいいました。
「ダンス大会ですか」
「そう、ダンスだよ。ダンス、オレはずーっとマシュと踊りたかったんだ」
「そうですか……」
 と私はなにもいえぬ面持ちで、開こうとしない口をやっと開けてつぶやきました。
「全員参加だよ。報酬もドロップもなにもないけど、これはオレ主催、ダ・ヴィンチちゃん協力のパーティだ。実質ね。慰労も兼ねてみた」
「先ほど本音は聞きましたけどね」
「今度はちゃんとオレに合った服でエスコートしたいんだよ」
 彼はビラを配りながら器用に肩をすくめてみせました。そういえば、彼は取りこぼした特異点の新宿から帰ったばかりだということを思い出しました。
「私は、踊りなど不得手なのですが」
「オレだってできない」
 あっけらかんと言ってみせる主人がおもしろく、私はふいにいい気分になりました。軽快なステップなど無骨な身が踏めようはずもなく、そんなからだと主のしなやかな肉が同じとは到底思えなかったのです。
「笑うなよ」
 と、彼は私の手にあるビラに気づいていなかったのか、あるいは急に緊張してしまったのか、同じ紙をひとつ押し付けると、頭を振って赤い耳を隠してふたたび小走りに去ってしまいました。主は、きっと中で巻きたばこに火を灯しているだろう男のへやには立ち寄らず、あっというまに廊下の先に見えなくなりました。
 私は、手元に残された二枚の紙に描かれた赤と黒が眼前に迫ってくるような心地がしました。あの男の心の臓がこんな色をしているように思われてなりませんでした。彼は今夜舞うのだろうか、それはいったいどんなふうに舞うのだろうか、彼の脈拍は速くつよく早鐘を打つのだろうか、そんなことが気になってなりませんでした。
 いつの間にか、廊下には誰もいなくなっていました。

 その夜、会場に足を運ぶと見慣れた食堂はまったく様変わりしていました。白い壁には魔術師たちの作りだした花が飾られ、素っ気ないスチールの机たちは隅っこでテーブルクロスに隠れてめかしこみ、大きくひらけた真ん中の空間は、カルデアの高い天井のために、まるで大広間のようでした。その大広間では、清潔そうな色をした制服をひとり残らず脱ぎ捨てた職員の浮かれた足音ときらびやかなサーヴァントの光が交互にめぐっては、管絃の音符を足踏みしてて、音のする方を見れば、なんと、あのアマデウスや、音楽からこそ生まれた仮面の怪人、そしていやいやといった様子で弦をつま弾く小さい尊大な作家がいるのでした。
 私は、男の重い拍動を忘れられないまま、ひとり雑踏の端に足を踏み入れました。そうして、歓談に興じるダ・ヴィンチ女史にも、話しかけられず、主催者でありながら壁の花と化したマスターを見つけました。彼は喪服のような黒いスーツを身に纏っていて、それは実際、彼の持ちうる服の内で一番上等なものなのだと思いましたが、やはり喪の礼服にしか見えませんでした。
「何をしているんです」
「いやあ。あれを見てよ」
 主が指し示した方角を見れば、装飾的な覆いのかけられた電灯の紋様を背負った濃色のコートが、ひらり翻っていて私は思わずどきりとしました。
 男の磨かれてぴかぴかと光るつま先が、タイルのレールの上を器用に滑り行き、コートは豪奢な情熱のドレスのように花開いたり、痩躯に巻きついたりしました。手に舞わす帽子はカルメンの烈しさにも似て、しかしどこか扇の空を切るさまをしていました。それがめまぐるしく舞うたびに、手をひかれた少女の頬はばら色になり、妖精の召し物は透けるようで、笑顔は管絃の音に弾けました。
「マシュですね。あなたのお相手では?」
「そうなんだけどさ」
 主の語ることには、男に舞い方を教授するよう耳打ちしたところ、目で見て覚えろと残忍な答えが返ってきたばかりだというのです。
 彼は、自分には無理だと肩を落としました。ちょうどそのとき、舞い終えて上気した頬の少女と、息一つ乱さぬ男が歩いてくるのを見ていたのは私だけでした。
 作家の管絃は解散し、たった今スピーカーから三拍子が流れてくると、肩を跳ね上げてどぎまぎする可哀想なマスターは、男に背を押され少女に手を引かれ、中央に走り出ていきました。それで、私はもう終わりに向かっているパーティに紛れ込んだのだと気づきました。
「マスターの後輩は嵐に巻き込まれただけですね。だってあなた、ただひとりで踊っていたんですから」
 男を見ずに私が言うと、たいしたものだとでもいいたげに鼻を鳴らして男は笑いました。
「あんなのは踊りではない。この熱演に塗れたブイヤベースを見てみろ。礼など投げすてるべきなのだ」
「相も変わらず面倒見がよいことで」
「なんだと」
 こちらを睨む金の眼に私は身震いを覚え、男の鼻を明かしたような気分になって、それきり、私たちは、食堂から人びとがいなくなるまでずっと、壁際にひとつの影のように立ち竦んでいました。

 私は、宴のちょびっとしっぽの方に参加しただけらしく、きらめく灯りたちは電力の節約ということで人が少なくなるにつれて、すぐにぽつぽつと消えていきました。暗くなったへやで、男はしばらく、マスターと少女の桃色の頬と、残していった笑い顔に満足しているようでした。私は、最後に振り返って食堂を出て行くエミヤに片手で挨拶をすると、男がなにを言い出すのか半ばわくわくとした気持ちで待っていました。
 彼はたいそう忌々しげに私を見下ろすと、それから、ふ、と破顔してまるで西洋の子どものような顔をして、灯りの消えた食堂で声を上げて笑いました。
「まさか貴様が来ようとは! まさか、いいか、まさかだぞ、おまえ踊りに来たっていうんじゃあないだろうな!」
「笑いすぎです」と私は片耳を塞ぎました。「あなたが踊っているなら、いいなと思ったのです」
 あなたの心臓がどんなに上から下へ、魔力を巡らせるのか、音に合わせて上下する足並みが、どんなにかそれを彩るのか、知りたくてたまらなかったのだと、言えるはずもなく、私はそう返すのが精一杯で、男の目がやんわりと細められたことに気づきませんでした。
「では、踊ろうか」
 と言った男の声音はとても優しげなものでした。
 おどろいて聞き返す間もなく、彼の細い指がぴんと立てられると、身を焼く黒炎とは違う小さな暖炉色の炎がぽっと燃えて、テーブルに残されたキャンドルの芯にそっと移されました。そして、男は私の眼前に立つと、ゆうわりした動きで、それはたとえば私を胸に抱く享楽的な時間に似て、身分の高い人のするようにお辞儀をしました。私は、その差し出された手を、キャンドルの灯が消えぬよう、ためらいなく、静かにとりました。
「わっ」
 すると、とたんに男は弱々しい灯火など気にも留めぬというふうに、私の手を勢いづけて引張り、広間の中央へ躍り出ました。無音の中に鋭い二拍の調子が打たれ、私はほとんど引きずられるようにして、彼のからだにまとわりついたり人形のように放られたりしました。
「女役は貴様だ」
 と叫ぶ男の声音は上機嫌にして凶悪でした。私は答えることもできず、しばらくは彼の動きについてまわるのに必死でしたが、きっとその頬は気づかずとも笑っていたのでしょう、音楽すら聞こえぬ空間には私と、男の跳ね上がる息と熱だけが渦巻きはじめていました。
「俺と舞うのは何度目だ」
「はじめてです」
「そうか。俺はおまえと舞うのは二度目だ」
 合間に息を吐き出しながら、彼は妙なことを言います。しかし、好き勝手に揺られる私の脳裏には、炎の真ん中、銀の線がひらりひらり舞う昏い監獄の壁が浮かぶのでした。炎は幻影となって私たちを取り巻き、互いのつなぎ目を溶かしてしまおうとでもするようでした。私はたまらなくなって、彼にもたれている手で懸命に彼の指を絡ませました。すると、彼は長い脚で私を支え、我々はただひとつの影に扮するように、広間の中心に静止しました。
 あたりはしんとして、ふたつの息と、彼の心臓の音だけが、激しく波打って、私は胸の内の甘皮が剥落するのを感じました。日頃、ちろちろと砂糖水をなめるように味わっている彼の心臓の音が、今は熟れて腐りおちるくだもののように思えました。
 私の両手は、彼を焼くことも知らず、無我夢中になって男の背に回り、もどかしいといったように、彼に自分のからだを押し付けていました。息の上がった男の上下する胸は、黄金の額縁のように杯を飾り付けて、私の目をくらませ、喉はからからに乾き、その内に手を伸ばすのを切に欲しました。
「おいおい」
 と笑う男の声は、やはり甘く狂おしく、聖なる杯のきらめきは魔力になって、彼の白い喉から星のように零れました。
 私の手つきが、きっと、赤ん坊のようにたどたどしかったからでありましょう、男は私を支えるのをやめて、普段のように背中を撫でさすってくれることもなく、ただ、その赤い心臓を捧げるように全身から力を抜いてぐったりとしていました。
「ああ、やはり、私はあなたが欲しいのです、私はこれが欲しいのだ!」
 気がつけば、私は床にうずくまり、彼のからだをよりいっそうつよく抱き締め、それはほとんど潰してしまおうかというほどでした。彼の心臓と、私の心臓とを阻むものが厭わしくて憎らしくて仕方ありませんでした。彼の赤い唇が、消えそうなキャンドルのゆらめきにあわせて濡れていて、蝶のように動くとにつれて気が狂いそうになりました。
「……ようやく晒したな。ふふ、永劫にオレと共にあれよ、四郎。カルデアに、いるうちは……」
 さらに力をこめると、男の声は小さくなり、細い息が私の前髪を淡く流れました。ぴったりとつけた鼓膜に波のように轟いて聞こえる心音はいつもより速く、か細く、心地よい眠気がやってくるどころか、肺に爪を立てられているような気さえしました。
 午後のゆるやかさなどとうに消え去って、もう二度と戻ってこないように思いました。私は彼をかき抱いたまま、食らいつくようにその唇にしゃぶりつき、うめきだって、あえかな微笑みだって、何もかも欲をかいて、すべてを腹に収めようとしました。どろどろになった手の甲に、懐古の熱を感じ、男を縛りつけるように自身のからだにとらえて放しませんでした。それからあとのことは覚えていません。ただ、最後に彼がなにかを言ったように、茫洋の彼方にうすら思い出されるだけでした。

 ついに灯は失せ、どこかで扉の閉まる音がした。