Alan
事務所のトレーニングルームで見慣れた後ろ姿を見つけた。
艶のある黒髪をポニーテールにして露になった白いうなじに思わず目がいってしまう。
「妃さん」
「亜嵐君」
声をかけるとこっちに振り返ってくれた。
トレーニングルームにいるのだから当たり前だが運動しにきているのだ。
そのため妃さんはほぼすっぴんであるのだが、いつ見てもこの人の美貌は完成されている。
寧ろメイクしていない分、少し幼さが感じられて可愛い。
「おはようございます。もしかしてこれからですか?」
「私の分は終わったんだけど……」
妃の視線の先にはスピンバイクをひたすら漕いでいる例の人がいた。
「直人さんの待ってるわけっすね」
三代目さんのリーダーの直人さんのトレーニングが終わるのを待っていただけだった。
よく見れば妃さんはタオルを手に持っていて、直人さんがノルマを終えたら渡すんだろうな。
「妃さん、ほんと大好きなんですね。直人さんのこと」
「大好きというか…いちファンとしてできることがあればしたいだけだから」
自分からしてみれば、こんな美女がファンになってくれたら天にも昇れそうな気がする。
直人さんへの嫉妬を抱きつつも、限りある時間を使い妃さんとの会話を繋げていった。
「お、亜嵐もいたんだ。久々だね」
「おはようございます!」
ノルマを終えた直人さんが自分たちの方へやってきた。
身体全身で汗をかいているその姿に、今日一日で相当なノルマをこなしたんだと分かった。
そして妃さんがすっとタオルを差し出して、直人さんもありがとうとそれを受け取る。
「シャワー浴びてくるわ、妃は?」
「はい、あとではいります」
「おっけー」
先にシャワールームへと向かった
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