新潟農業高校1


スーパーへの買い出しを誰がいくかでじゃんけんをした。
結果、メンディーと隼そして蛍ということになったが、その人選にやはりあの人が文句をつけてきた。

「ええええ、蛍ちゃんいくならオレもいーきたいー」
「駄々こねるなよリーダー」
「小学生か」
「亜嵐君まっさきに勝ってたくせに」
「メンさん、隼くんいこう」
「蛍ちゃんの方はガン無視だよ!?」



新潟名物イタリアンを買いつつ、メンディーがアイスクリームも食べたいといったので、抹茶・ストロベリーの組み合わせを頼んだ。
買い出しを無事に終え、皆の待つバスへと戻ることに。

「蛍ちゃんいる?」
「ありがとう」
「一応オレが頼んだものだからね、二人とも」

メンディーから分けてもらっていた隼が蛍にも勧める。
一つのアイスを分け合うその姿はまるで恋人同士のようで、何故か一緒にいるはずのメンディーが除け者に。
するとバスに近づいていったところで窓が開き、まさに鬼の形相の亜嵐が顔を出した。

「ぅおいいいいい、何オレの蛍とイチャイチャしてんじゃぁああ!!」
「あなたの蛍ちゃんじゃないですよーリーダー」
「てか遅いよー三人とも」
「ごめんね、メンさんが遊んでたから」
「ちょっとオレだけのせいにしないでよ」

メンディーの持っていたアイスを怜於が奪い、みんなに回していく。

「あれ亜嵐くん、人のアイス食べないんじゃないの?」
「蛍ちゃんとの間接キスは譲らねぇ」
「変態か」

***

目的の学校に着いたところで教頭先生に挨拶を終えると、早速校舎の一部を案内してもらえた。
校長室にいく前に生徒が栽培しているトマトを試食させてくれることになり、大勢で行くとバレるので4人でいくことになった。

「じゃあ亜嵐くんと…」
「ちょちょちょちょ、オレ、トマト食えないの知ってるでしょ」
「リーダーなのにトマト食えないってー」
「蛍ちゃんいく?」
「うん、食べたい」
「よっしゃお前ら行くぞ、バレねぇようについてこい」
「あの人ほんと単純だなー」


初めは強がっていた亜嵐だったが、やはり本物のトマトを前にすると一気に腰が引けてしまった。
蛍たち三人が先にトマトを試食しているときも後ろの方で、ぎょーっ、うぉーっ、などと奇声を発して身体をのけ反らせていた。

「き、厳しい…っ」
「生徒の愛情が籠っています」
「蛍ちゃん食べさせてあげれば?」
「私?」
「あと亜嵐くんは食べるときにトマトじゃなくて、蛍ちゃん見てればいいんじゃない?気を紛らわせて一気にぐいっと」
「ぐいっとは嫌だけど、蛍ちゃんが手伝ってくれればいける気がする…っ!」
「いいよ」

蛍がトマトを亜嵐の口元に持っていき、亜嵐の方も裕太に言われた通り、蛍の顔をじっと見つめてトマトから気を逸らそうとしていた。
傍からみれば意味の分からない光景だが、美男美女が見つめあっているのは確かだった。
しかし、

「……か、かわいい」
「はよ食えや!」

寧ろ蛍の方にばかり気がいってしまい、亜嵐が一向にトマトを食べる気配がない。
すると見かねた蛍がいきなりグイっと亜嵐の口元へ半ば無理やりトマトを押し付けた。

「っ!?」
「おおーさすが」
「おいしい?」

食べられないトマトの味に美味しいも何もないのだが、それでも必死に亜嵐はトマトを喉に通した。
そして苦しそうな顔をしながら「おいひぃ〜」と呟いたのだ。
頑張った亜嵐に対し、蛍も「頑張ったね」と頭をぽんぽんするのであった。

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