岩さんが百合ちゃんを仲間としてでなく、異性として好きなのは知ってた。
三代目さんと一緒にいるとき、岩さんが百合ちゃんを見る目が完璧に男の目だったから。
どういう目だよ、って思われるかもしれないけど、まぁ要は同じ女の子を想う男として分かるものがあるのだ。
まぁここまで言っておいてお分かりな通り、俺が、岩さんが百合ちゃんを好きだと気づいた同じように
岩さんも、俺が百合ちゃんを好きだと気づいていたと思う。

「お疲れ様。亜嵐君」
「高峰さんも」

リハーサル終了後、百合ちゃんと挨拶を交わして車へ向かった。
一応皆の手前、苗字で呼んでいる。

「おーい。百合、亜嵐。お前ら待ちなんだから早くしろー」

喋りながら歩いていたからかだいぶ距離が開いていたらしく百合ちゃんが「ごめんなさい」って返事をしヒールをカツカツならしながら小走りで向かう。
俺もその後を追うように小走りで駆け出す。
皆さんの場所についたらグイッと腕を引っ張られた。
引っ張る方を見ると岩さん。げ。

「百合と何話してた?」
「いや、と、特に…」
「ふ〜ん、あっそう…」

疑いの眼差しを俺に向けサッと百合ちゃんの隣を占拠した岩さん。怖い。

「今日の衣装色っぽいね」
「そうかな」
「うん、たまにはいーと思うよ」

なんて言いながらまるで彼氏と彼女のように顔を近づけて笑ってる岩さんと百合ちゃんを見て胸が痛んだ。

***

「百合ちゃんってさ…岩さんと仲いいよね」
「やきもち?亜嵐君」

ドタドタドタっっ。
まさかそんなストレートに言われるとは思わず、ついソファから崩れ落ちてしまった。
今日は久しぶりにオフが重なって、ほんと久しぶりに家で一緒に過ごしていた。

「そそそそういうわけじゃないんだけどねー」
「言葉と顔が合ってないよ」
「う……だ、だって、普通に手繋ぐし、距離近いし……」

俺のが彼氏で、立ち位置的には確実に勝ってるのに。
一緒にいられるのはグループが一緒の岩さんの方で、俺とはこうやってたまに休日が合ったときだけ。
現実は厳しいものだな、なんて言葉で片づけられるわけもなく。

つい、ネガティブ思考になっていたときだった。
頬に柔らかい感触が。

いつの間にか俺の傍には百合ちゃんがいて、可愛い百合ちゃんが俺の顔の真横にいて、
口元のセクシーなほくろがそこにはあって、百合ちゃんは俺のほっぺにチューしてくれて。

「え、え、えええええっと」
「…機嫌治った?」

こてんと首を傾げてる百合ちゃんの破壊力は半端じゃなかった。
きっと世界征服だって夢じゃない。世の男どもは全員下僕にだってなれるだろう。

そんな馬鹿なことを考えている俺に百合ちゃんは再び顔を近づけてくれた。
だから俺も、お返しとばかりにその色っぽい唇にキスをした。

「機嫌、なおりました」

そう言うと百合ちゃんが頬を赤らめて笑うもんだから、俺はもう一回、唇を押し付けた。

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