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―俺達はただ…この町を
あいつを、守りたかっただけだ―


かつて、ムゲンという伝説のチームがこの一帯を支配していた。
その伝説のチームに唯一潰せない凶悪の兄弟がいた。
その名は雨宮兄弟。死闘の中、突如ムゲンは解散した…そして、その地区に5つの組織ができた。


山王商店二代目喧嘩屋「山王連合会」
誘惑の白き悪魔「White Rascals」
漆黒の凶悪高校「鬼邪高校」
無慈悲なる街の亡霊「RUDE BOYS」
復讐の壊し屋一家「達磨一家」

各チームの頭文字を取って「SWORD地区」と呼ばれ、そこのギャング達は「G-SWORD」と呼ばれている。
その地区の一角、山王街。そこから物語は始まる。


山王街にある洋食屋、ITOKAN
いつものように俺達は集まっていた。
俺はヤマト、山王連合会のメンバーである。
ここにいる奴らは皆山王連合会の仲間だ。
向こうの席で変顔をしているのがダン。
そのダンの変顔を携帯のカメラで撮っているのがテッツ。
またしょうもない画像をインスタとかいうのに投稿するのか。
テッツの携帯を覗きこんでいるのがチハル。
最近山王連合会に入った奴だ。
そして俺の横で静かに酒を飲んでいるのが…

「………?んだよ、」

山王連合会総長、コブラ。
俺の幼馴染みでもある。
こいつとは昔から一緒で、かつてこの一帯を統率していたムゲンというチームに一緒に入っていた。

「ヤマトお前…よく食うな」
「ツケがたまっていく一方だよ…いつになったら払うんだか」

呆れたようにそう言ったこいつ。
このITOKANを切り盛りしてるナオミ。
こいつも俺達の幼馴染みだ。
もう一人、俺達には幼馴染みがいる。
今、この山王には理由あっていないが。
するとそこで店の扉が開く音がした。

「お醤油、買ってきた」
「おつかれ」
「セールしてたからちょっと安く買えたの」
「いつもありがと」

ナオミが笑顔で出迎えたそいつはITOKAN唯一のバイト、ユリだ。
ちなみに住んでるところもナオミと一緒で、居候させてもらう代わりに店を手伝っているという、ちょっと訳ありなやつ。
コブラと同じで口数は少ないし表情もあんま変わらないから、正直何考えてんだか分かんねーときもあるけど、
口は悪い、ケンカっ早い俺達の中で(ナオミ含め)こいつはほんっとうにまともな女で…

「……なに?」

…訂正する、とんでもない美女である。
ナオミと歳も変わらなさそうなのに、細身の割に出るとこは出てるし、口元のほくろがまた色っぽい。
さすが山王のマドンナといわれるほどだ。
でも俺はこいつに恋愛カンジョーを抱いている訳ではない。
むしろ…こいつに恋愛カンジョーを抱いているのは…

「…おいユリ、買いに行くなら俺呼べって言ったろ、もう暗いし危ねぇだろうが」
「近いから大丈夫、コブラが心配する必要、ない」
「だから……ちっ、もういい
次は呼べよ、迎えに行くから」

…コブラが心配性なのはお前限定だっつーの。
こいつ超絶美人だけどなんか鈍いんだよな…いつまでもコブラの気持ちが分からないユリ。
コブラが報われる日は来るんだろうか。
ナオミを見れば俺と同じ事を考えてたようで…呆れたように笑っている。

「おかわり、次ユリが作ってくれよ。
ユリの飯の方がナオミより旨いから」
「ヤマト…あんたいい度胸してるね。
今すぐこれまでのツケ、払ってもらおうか?」
「ユリ…ヤマトには飯作らなくていい。俺に作れ」
「ふっ、こいつユリ来るの待ってたから食べてないんだよ」
「ナオミ…余計な事言うんじゃねぇ」
「そう、じゃあすぐ作る。ナオミちゃん、これ、使いたい」
「ユリ俺にも作ってくれよ!まだ足りねぇ」
「あんた…いい加減にしなよ」

ナオミからエプロンを受け取り、コブラの飯を作り出した。
こうやって下らないやり取りをするのが普通で。
たまに突っかかってくる奴らをぶっ飛ばして。
ここに来ればナオミとユリがいる。
ケンカして怪我して帰ってくるたび、心配したと泣きそうになりながら怒られても手当てをする手は優しくて。
そんな日々が続くと思っていたのに。
当たり前が、変わっていくなんて。
この時はそんな事これっぽっちも思ってなくて。
ユリを優しい目で見つめるコブラをからかって。
キレたコブラにコブラツイストかけられてそれを仲間が笑う。
ユリもナオミも笑ってて、
こんな日々が続いていくんだと、思っていた―

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