ある女優のはなし
GENERATIONSの白濱亜嵐くんはとてもモテる。
美形でダンスが上手で演技力も抜群で最近ではDJも披露していた。
女子が好きな要素を全て持っている彼がモテないわけはないのだ。
「白濱さん、おはようございます」
「おはようございます」
現場に現れた彼に挨拶をする。今日も髪型をばっちり決めている白濱さんはとてもかっこよかった。
今回の連続ドラマで共演することになった私は白濱さんのヒロイン役で、彼と一緒の時間は当たり前だが多い。
もう何度か顔を合わせているが、未だに挨拶を自分からするのは緊張するし、芝居で目を合わせるときももっと心臓が張り裂けそうになる。
そう、私が彼に恋してしまったから。
以前から白濱さんには憧れがあったが、いざ目の当たりにして共演して相手役まで務めて、好きになるのは一瞬だったかもしれない。
――でも、それと同時に気づいたこともあった。
「百合ちゃん、おはよう」
「おはようございます」
「今日一緒のとこ多いよね、よろしくね」
「はい、私こそお願いします」
共演者の高峰百合さん。
モデルで女優の彼女はその卓越した演技力が注目され、ここ最近人気が急上昇している。
どこにいても目を引くような美貌は華があって白濱さんと並ぶととても絵になっていた。
そして、そんな高峰さんに白濱さんは恋している。
高峰さんは私の幼馴染役で、彼女も彼女で別の恋愛をしている設定だ。
なので私より白濱さんとのシーンは少ないが、白濱さんはことあるごとに高峰さんと一緒にいようとしていた。
挨拶を交わしたあとも二人で世間話を続けていて隣をキープしている。
私と一緒にいるときには絶対見せない優しい顔と楽しそうな笑顔が、酷く胸を刺す。
嫉妬してしまわないといえば嘘になるが、叶わない恋だというのは初めから分かっていた。
高峰さんは私と違って演技力も高く、本当は彼女がヒロイン役になる筈だったらしいが、
私が某有名アイドルグループに所属していることからドラマの宣伝に強いという理由と事務所からの圧力によって、私に決まっただけだ。
他にも、アイドルである私と違い、モデルである高峰さんはスタイルだって抜群で。
ロシアとのハーフらしく、私と身長はあまり変わらないのに、彼女のスラリとした長い足と真っ白い肌、特に影を指すほど長い睫毛がとても羨ましかった。
私なんてビューラーでぐんと上げてマスカラをたっぷり塗らないと目は大きく見えない。
「この間さ美味しいお店見つけたから一緒に行かない?」
白濱さんはとても積極的だった。
私だけでなく周りのスタッフも一目瞭然なほど、明らかなアプローチ。
彼の事務所も高峰さんの事務所も恋愛禁止ではないので問題はないけれど、こうもあからさまなのは、恐らく周りへの劣勢もあるのだろう。
「高峰さん、白濱くん、おはよう」
「おはようございます、竹下さん」
「おはようございます」
高峰さんの相手役の竹下圭史さんへの。
私と白濱さんのように、竹下さんと高峰さんは相手同士ということもあって一緒にいる時間が多い。
そして竹下さんが高峰さんに興味を持ち始めていることも最近分かってきた。
そのため白濱さんはライバルが出ないよう、今日も彼女の隣を譲らない。
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