いちばん近くの自販機にお茶を買いに行くと、ちょうど自販機の前で飲み物を選んでいる人がいた。

「三代先生」
「ん?高峰か、なにお前も買いに?」
「はい、お茶を切らしたので」

朝と授業とお昼に、日に三度もこうして会うのも珍しかった。
といってもこの学校の教師なのだから特に不思議ではないのだが。

「そーいえば高峰、さっきの授業で怪我してないよな?」
「はい」

体育のバスケで危うく百合にボールが当たりそうになったのを止めてくれた三代先生。
さすが教師なだけあってよく生徒たちを見ている。

「それなら良かったわ。
いや高峰ってちょっと抜けてるとこあるから、知らないうちに怪我してないか心配になったからさ」
「私、抜けてます?」
「まぁほんとにちょっとな。よく岩田を引っ張てくれてるからしっかりしてる方だけど」

自分では気づかなかったが、先生に言われるとそうなのかもしれないと何故か確信を持ってしまう。
これからは気を付けよう、そう心に決めているとガコンと自販機の飲み物が落ちる音がした。

「ほれ」

そうして先生から渡されたのはペットボトルのお茶だった。
いつの間にか先生は自販機で飲み物を買っていてしかも二つ。
一つは自分に、もう一つは百合にとのことだ。

「え、っと…」
「120円ぐらい気にすんな」

突然のことに戸惑って硬直してしまった百合に対し、先生はあっけらかんとした様子で言った。

「じゃ、次の授業おくれんなよ」

そして最後にそれだけ言って、また百合の頭に手を置くとその場を去っていく。
今日で三回目の頭ぽんぽんと奢ってもらったお茶。
改めて三代先生の偉大さに感銘を受ける百合であった。

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