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「13号避難開始!学校に電話試せ!センサーの対策も頭にある敵だ。
電波系の“個性”が妨害している可能性もある。上鳴、おまえも“個性”で連絡試せ」
「! ッス!」
次々指示を出し、電撃を扱う上鳴にも“個性”を使用して連絡を試すよう仰いだ。戸惑いながらも返事をした上鳴は右耳に装着した無線に触れる。
相澤はひとりで戦うようだ。あの蔓延る敵の中に飛び込んで。イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の“個性”を消してからの捕獲。大勢いる敵の中、正面戦闘は危険だと相澤を思って危惧する緑谷に、相澤は長い髪の毛を逆立たせて「一芸だけじゃヒーローは務まらん」と告げれば、13号に任せたぞと言い残して蔓延る敵の中に飛び込んでいった。
へたりとその場に座り込んだ静に緑谷が駆け寄る。
「静ちゃん!」
「あ……み、どりやくん・・・」
「しっかり!大丈夫だから」
この状況に戸惑いながらも力強いジェダイトが弱りきるラピスラズリを確りと掴む。
その瞳から何があったの、どうしたのと問い質したい気持ちが垣間見得る。けれど今は目の前の少女を連れて逃げるのが先決だと判断したのか、静の白い腕を引っ張りあげて立たせた。
ふと、ひとりで戦う相澤が気になり、セントラル広場に目を向けた。次々と“個性”を消し、特製の布を巧みに扱いひとりまたひとりと敵を地面に転がしていく。
芸術のような華麗な動きに、緑谷も静も目を奪われる。多対一こそ相澤の得意分野だったんだと分析する緑谷に、焦燥感を滲ませている飯田が避難を促す。静も緑谷に支えられながら出入口へ向かった。
「させませんよ」
出入口の前、黒い靄のようなものが突如立ちはだかった。ゆらゆらする靄の中から双眼がギラリと光る。
緑谷の腕を掴む静の手に力が込められる。些細な反応も緑谷は見逃さず、もう一度だけ「大丈夫」と2人だけに聞こえる声で静を気遣った。その横顔は幼き頃の気弱な彼とは違って見えた。
「初めまして。我々は敵連合。僭越ながら…この度はヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは――平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」
オールマイトに息絶えて――緑谷の表情が強ばったのが静にもわかった。
「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ…ですが、何か変更があったのでしょうか。まぁ・・・それとは関係なく…私の役目はこれ」
ゆらりと靄がリズムを崩して揺れた。何か仕掛けてくると双眼を細めて注視する。が、その刹那の事。ほぼ同時に切島と爆豪が飛び出し、ゆらめく敵に向かって一撃を放った。煙幕が立ち込める中、距離を置いた2人は息をついた。「その前に俺たちにやられることは考えてなかったか!?」と牽制を与えた気でいる切島は“個性”で左腕を硬化したまま身構え、臨戦態勢を維持する。
しかし「下がりなさい!」と2人へ向けた13号の警告も功を奏すことなく、敵の黒い靄が生徒達に襲いかかった。
いけない、アレは――と静が動くより先に強い力で後ろへ突き飛ばされた。地面に叩きつけられ、すぐ様上体を起こすが既に黒い靄に飲み込まれていた。
「緑谷くん!!」
「心配されなくてもあなたもお友達のもとへ行けますよ――照己静さん」
黒い靄が静の身体を覆った。
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