バレンタイン


「かか様、かか様」
「どうしたの?ツララ」
「あのね……チョコのお菓子、作りたい…」
「「「!!?」」」

その瞬間、はたけ一家の男たちに衝撃が走った。

▽▲▽

「そうそう…そうやってゆっくり混ぜるのよ」
「うん…」

キッチンで調理をしているツララ、それを後ろから見守るホタル。
そして――

「なぁ…何の菓子作ってんの?」
「分かんない…でも多分クッキーじゃない?ハート形の型があるし」
「なにそれ、ハートって……え、そんなのいる?クマさんでもいいじゃん」
「なんでハートが駄目なの?イチタ兄さん」
「だって完璧、愛の印でしょうが。いらないじゃん、ホタルにはまだ」
「いや…別にそういう意味と決まったわけじゃないと思うけど…」

そんな彼女たちを壁を挟んで見つめているのは、はたけ兄弟たち。

「………っっ、ていうかお前たち重いよ!なんで父さん一番下にしてんのさ!?」
「いや、そこは年長者だから」
「寧ろそこは若い者がいくとこでしょ!?」
「ちょ、父さん、あんまデカい声出さないで。不審に思われるよ」
「多分もう絶対…思われてる」

可愛い娘(妹)がチョコのお菓子作りを母に教えてもらいながら作っている。
ただそれが何でもない日であれば全然かまわない話だ。
しかし、それがそうもいかないのは、明日がなんとバレンタインの日だからであった。

「どこの馬の骨とも知らん奴に、可愛い妹をやれるかってんだよ」
「でも女子ってよく女友達で交換し合うって聞くよ。その為じゃないかな」
「じゃあハートいらないじゃん」
「イチタ兄さん、そろそろハートから離れてくれない?話が進まないから」
「ってか明日、バレンタインだったんだな」
「オレ等、いっつも任務で里いなかったし。あんま関係ないからねぇ」
「なんだお前ら、女の子からチョコの一つや二つ貰わないのか」
「親父……いつからいたんだ?」
「最初からだよ!お前らがオレを下にしてから!ったく…どいつもこいつも、このはたけカカシの息子でありながら、まさかチョコも貰ったこともないとは…」
「いや、渡されそうになったことはあるけど?」
「あぁ、確かにそーいやそんな感じのことあったな」
「けどさ…俺ら三つ子の場合…」

『イチタくん!このチョコ、貰ってください…!』
『いや、ありがたいんだけど……オレ、サンリだからね?』
『え、…?』

『サンリくん、貰って!』
『ニコエくん!』
『オレがニコエね』
『オレはイチタだから』
『『え……?』』

「毎年、間違えられるし……一々訂正すんのも面倒くさくなって、そのうち避けるようになったんだよ」
「確かに!オレ等でも兄ちゃんたちは見分けが付かないもん!」
「せめて僕達みたいに、中身だけでも違えばよかったのにね」
「まぁ、忍としては結構良いんだけどね。似てるってことはそれだけ敵を欺きやすい」
「さすが兄ちゃんスゲェ!」
「そんなわけで、チョコは貰ったことはなくとも、俺らに渡したい女子は多いワケよ」

サラッと自慢を述べる三つ子。一般的な男子ならば羨ましいと嫉妬の対象になるが、見事に美形揃いのはたけ一家では特にそんなことはなかった。

「オレ等はあんまそういうのに出くわさないよな、ウドク!」
「うん、まぁ…僕甘いの好きじゃないし……、僕が修行に行くのをセイタが勝手に着いてきてるから、女子に会ってないだけだけど」
「あ、そっか!」



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