二十八 第一次試験

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 番号を受け取り、席を捜す。そうして席につこうとした途端、トモエは隣の席に座っている彼の姿に目を瞬いた。
 そこにいたのは"砂瀑の我愛羅"その人だった。

 しかし、我愛羅のほうは気付いているであろうに、目を瞑るばかりでトモエを見ようとしない。トモエは暫く突っ立っていたが、そのうちすとんと席に座り、硬い表情で膝の上で握る拳を見つめた。
 我愛羅がその一瞬 横目を向けたことにも気付かずに。

 一次試験は、イビキによる注意事項から始まった。

 「この第一の試験には、大切なルールってもんがいくつかある。質問は一切受け付けんからそのつもりでいろ」

 イビキは黒板に字を書きながら説明に入った。
 まず一つ目のルールは、この試験の得点方法。受験者には全員に最初から十点ずつ配分されており、間違えたら一点ずつ引かれていくという。そして、合否はチーム三人の合計点数で判定される。

 「ちょ、ちょっと待ってよ!」

 頭を打ってまで第二のルールに動揺したのはサクラだった。無論、チームメイトに問題児がいるからだ。

 「チームの合計点ってどういうこと!?」
 「それに、木ノ葉と音のチームにフォーマンセルのところがあったじゃねェか!!」

 サクラに次いで声を上げたのは他の隠れ里の忍。先ほどの部屋での一悶着を見て解釈したのだろうと思われる。その意見に賛同するような声も多数挙げられた。しかし、それらは「うるせェ!」というイビキの怒鳴り声で一蹴された。

 「黙って説明を聞いとけてめェら!!その二つについてはワケがある!質問は受け付けねぇと最初に言っただろうが!」

 しんと静まった場に溜め息をつき、イビキは今度は第三のルールへと入った。
 それはカンニング対策だった。カンニング、及びそれに準ずる行為を行ったと監視員たちに見なされた者は、その行為一回につき持ち点から二点ずつ減点されるという。つまり、途中退場も有り得るということ。

 「(.....減点だけ?)」

 トモエはふいにそう思ったのだが、イビキはトモエの思案を遮るように付け足した。

 「ここでフォーマンセルを組んでる二組に枷を与える!この二組に関しては、班員全員のカンニング行為の合計が五回に達した時、問答無用で失格とする!」
 「!!」
 「えええええ!?それってかなり不利じゃねェかよォ!」
 「黙れ小僧!!これは甘いほうだというのが分からんか...そんなに途中退場が怖ければ、カンニングなどやめてしまえ!」

 ナルトが怯んでいる最中、トモエはまたも首を捻る。さっきからなんだかイビキの言い回しがちょくちょく引っかかる。しかし、また一つルールが追加された時、トモエは絶望に似たものすら覚え、それまでの考察など消え去った。
 班員の中に一人でも0点がいた場合は、全員が不合格になる。
 最初の難関が始まった。

 ***

 「試験時間は一時間だ。よし……始めろ!!」

 イビキの大声により、ついに一次試験が始まった。
 裏返しにしていた用紙に名前を書き、問題に目を通す。

 そして解答用紙に名前を書いたトモエの手がぴたりと止まる。
 試験問題は暗号読解に手裏剣の最大射程距離を求める問題、どれも下忍の任務では目にすることのなかったような内容ばかりだ。
 現に会場にはほとんど鉛筆の音が響いていない。確かにトモエの知識力とサクラの頭脳なら、これらを解いていくことは可能だろう。
しかし、解けない者達に残された道は一つしかない。

 ――カンニングをすることだ。
 だが現に周りでは、次々と失格者が続出していた。試験官にカンニングがバレたチームは脱落する。

 普通カンニングをすれば即退場を言い渡されてもおかしくはないが、この試験では四回もカンニングが黙認される。
 難しすぎる問題といい、まるでカンニングを誘っているとしか思えない。更にこの第十問、試験開始十五分が経過してから出題とはまた謎である。

 何を見ている?
 何を自分達に求めている?
 この試験の目的を探り始めたトモエの脳裏に、イビキが当初言っていた言葉が過った。

 『不様なカンニングなどを行った者は自滅していくと心得てもらおう。仮にも中忍を目指すものなら"立派な忍らしく"することだ』

 ――情報収集戦。
 いかにして明確な答えを得られるか、それがこの試験の本質だった。
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