番外編:クリスマスホリデー
番外編:クリスマスホリデー
今日の仕事を終えて宿舎に戻れば、リビングに飾られていたのは、ホリデーシーズンにしか見られないような大きなクリスマスツリーだった。ふとカレンダーを見れば、今日は12月20日。そうか、もうそんな時期だったのか。
韓国でも11月末から街中が一気にクリスマスムードになっていくし、僕たちもこの時期はクリスマス関連の曲を歌うことも多くなるから、一年に一度しかないクリスマスに胸躍らせることはあるけど。彼女ほどじゃないだろう。
「ジミンさん、おかえりなさい」
「ただいまー、ユリ。今日からツリー飾るの?」
「はいっ、だってもうすぐクリスマスですから」
そう。うちのもう一人の末っ子、ユリはメンバー内で一番のクリスマス好きなのだ。一年のなかで一番好きなシーズンなんだとか。ちなみに二番目はハロウィンらしい。
そんなユリは楽しそうに笑顔を見せると、クリスマスオーナメントが入った箱を手に持って上機嫌にツリーの下へ。
彼女は生まれも育ちもアメリカだからか、こういう欧風の行事イベントは率先してやる子だ。なんでもアメリカやヨーロッパでは、クリスマスには長期休暇を取って家族とゆっくり過ごす習慣があるらしい。
けど僕たちは寧ろこの時期に仕事があるからそんな風にはできない。ところがユリ曰く、僕たちメンバーだって“家族”だから、皆が少しでもホリデー気分を味わえるようにしたいのだと。
普段は大人しくて、メンバーの大騒ぎにドン引きして端っこにいるような子が、こうやって僕たちのためにも率先して準備してくれていると思うと、心鷲掴みにされそうになってしまう。
「んしょ…っ、と」
TH「ユリ〜!今年はこれも飾ろうよ!」
JK「ちょっとヒョン!それ俺が買ってきたやつなんですけど!」
TH「ほら見てみて、クリスマスツリーの足もとに敷くやつだって」
まぁここには既に鷲掴みにされたやつらもいるみたいだけど。
づかづかとやってきたのはテヒョンとジョングク。どうやらジョングクが買ってきたものを何故かテヒョンが持っていて、それを興奮気味にユリに見せてきた。
「もしかしてツリースカートですか?かわいい…っ」
TH「でしょ!じゃあ俺敷いちゃうね!」
JK「だから俺が買ってきたんだってば!」
「ジョングクさんありがとうございます」
JK「……ん、別にいいよ」
本当は自分の手から渡したかったんだろうに、ユリの笑顔を見るともうどうでも良くなったらしい。大好きな彼女の喜ぶ姿が見たくてわざわざ買ってきたジョングク。耳まで真っ赤にさせて、なんて健気なんだろうか。
一方でテヒョンの方は多分、クリスマスの曲を歌いながらはしゃぐ姿はあれは完全に5歳児にしか見えない。普通にこういうイベントごとが好きなのだ。
JN「おー、今年も頑張ってるねぇ」
SG「毎年毎年よくやるな」
JH「ユリはいっつもこの時期キラキラしてるから、本当可愛いなぁ!」
RM「よし、僕も手伝ってこよう」
JN・SG・JH「…え、」
騒ぎを聞きつけたヒョンたちもリビングにやってきて、ユリたちがせっせと飾りつけている様子を暖かく見守っているなか、ナムジュニヒョンが自ら手伝うと言ってきた。
RM「ユリ、僕も加わっていい?」
「はい、勿論です」
JK「え、でもヒョン…」
TH「壊さないでくださいよ?」
RM「何言ってるんだ。これぐらい誰でもできるだろ」
ナムジュニヒョンが自身満々にそう言って、オーナメントの一つであるボールをひょいっと手に持って、ツリーの枝に飾ろうとした…その時、
RM「あ、」
枝に引っ掛けたと思われたボールはそのままヒョンの手から離れ、見事に床に落ちてしまったのだ。パリン、という悲痛な音と共に。
RM「……ご、ごめん!!ユリ!!」
TH「ほら〜!ヒョンは十分に気を付けないと直ぐこうなっちゃうんだから!」
RM「すまん!本当にわざとじゃないんだ!」
JK「わざとだったら俺、ぶっ飛ばしてますけど」
RM「お、落ち着けジョングク…!とりあえずその構えを下ろしてくれ!」
ジョングクの今にも振り下ろされんばかりのファイティンポーズから逃げるヒョン。その頃、ユリはというと…
JH「この子ショックのあまり固まってるけど!?」
SG「こりゃ完全に思考が固まってるな」
JN「よしよ〜し、今度ママたちが新しいの買ってあげるからね〜。ねぇお父さん?」
SG「お、おう。パパも何か買ってやるぞ〜」
無残にも割れてしまったボールを見つめたまま硬直しているユリを、ジンヒョンが抱きしめて慰めてあげていた。流石長男と言いたいけど、どこかふざけてる部分はやっぱりジンヒョンだ。
JK「ユリはクリスマス大好きなんですよ?!それなのに大事な飾りをぶっ壊すなんて、どうかしてます!」
RM「だから本当ゴメンって!」
JN「おーい、子供たちいい加減にしなさいよ」
SG「そうだぞー今度はママが怒り出すぞー」
JH「いや棒読みにも程がある」
TH「ねぇねぇ!てっぺんのお星さま俺つけていい?!」
SG「お前は空気を読め―」
***
カオスと化していた飾りつけも、その後ようやく落ち着きを取り戻し、最後にユリが大きなトップスターを飾り付けたことで収束した。
RM「ごめんなぁ…ユリ…」
「もういいですよ。自分こそ取り乱してすみませんでした」
JK「ヒョンはもうツリーに触れちゃ駄目ですからね」
RM「はい…」
JH「まぁまぁジョングガ。いい加減許してやれって」
JK「でも、」
「ジョングクさん、自分も大丈夫ですから」
JK「なら良し」
JH「おい」
JN「プレゼントは何がいいかしらねぇお父さん」
SG「…ヒョン、まだこれ続ける気ですか」
TH「今年はサンタさんに何お願いしようかな〜」
僕たちのクリスマスはまだまだこれから。以上、ジミンがお送りしました。