初ステージ
【それでは、次の発表に移りたいと思います】
いよいよ次は百合ちゃんたちのダンスだ。周りの皆もざわついているのが分かる。聞こえてくるのはやっぱり百合ちゃんの名前。
美しすぎる転入生が出てくるとあって、やっぱり一番注目されているんだろう。
そして司会者の説明が終わると、ようやくステージである体育館の檀上に現れた三人。上級生とみられる二人はしっかり顔が見えたから分かったけど、もう一人、白いバケットハットを被っている人は顔がはっきり見えない。
あ、でもあの綺麗なEラインは百合ちゃんだ。
帽子を被っていても隠せないその美貌。それに帽子で見えない部分があると、それがまた神秘的に感じてしまう。
上はショッキングピンクに近い派手な色をした、大きめのだぼっとしたトレーナーを着ていて、下も同じようにトレーナーだけど帽子と同じ白色だから、シンプルでも凄くお洒落だ。普通の人がやったら寝間着に見えてしまいそうなのに、百合ちゃんの抜群のスタイルと顔面の強さがあるから、どんな服でもお洒落に着こなせるんだろう。
そうして音楽がかかってから、私は何かに取り憑かれたかのようにステージから目を離せなかった。曲は邦楽ではなく、かと言って洋楽でもない、韓国の曲らしかった。男性の歌声と共に流れる曲は中毒性のあるリズムで、激しいビートとパワフルなラップがカッコいい。特に女子の間では人気があるのか、一部の生徒たちが反応していた。
ダンスをする三人は、合わせる部分はピッタリ合っていて、そしてソロではまたそれぞれが暴れまわっている、といった印象を受けた。
百合ちゃん曰く、上級生二人は最初そこまで上手というわけはなかったとか。
ところが二人の動きを見て、ダンスをやったこともない人間でも思ったことは、
いや……どこが?
うますぎでしょ。普通にテレビのバックダンサーとかできそう。
なんていうか、校内で見たときより全然違う人に見える。
けど、それ以上に――彼女はとんでもなかった。
大きめのトレーナーで女性らしい体形を覆っているからか、遠目で見ていると男の人にも見えてくる力強いダンス。時折除く美しい瞳は鋭く前を向いていて、常人にはできないキレのある動きは曲と同じく、とにかく“かっこいい”の一言に尽きる。
さっきから百合ちゃんがソロをやる度に、どこからか女子生徒たちの黄色い声が聞こえてくるし。
そして一曲目が終わったと思えば、また次の曲がかかり、今度はどこか神秘的な曲。これも同じく韓国の曲だった。
もう何分も踊っているのに、衰えることがない迫力のあるダンス。
これは、もう、文化祭のレベルを超えている。
生徒たちのなかには盛り上がりが最高潮に達したのか、テレビで見るライブみたいに立ち上がっている人がたくさんいた。壇上の方に駆け寄って、もはや席など関係ない状態。
慌てて先生たちが取り締まろうとしても、三人の踊りはそのままラストスパートまで勢いが止まらず、それにあてられた生徒たちで溢れ返っていた。
三人の初ステージは、大きな爪痕を残すほど大成功を収めたのであった。