10


卒業まで、
残り10日になった

思い返せば色々なことがあったけど、上手く思い出せないものもある


勉強は難しかったな―赤点ギリギリのときは焦った

新しい友達もできたし、毎日が楽しかった


入学式―今でも覚えている






「本校に相応しい生徒になる努力をしてください―」


オーキド校長の挨拶は長い

不安と期待でごちゃごちゃになった心には全く届かずに終わった




教室に行き、自分の席に着く―周りを見渡せば知らない人ばかりで、不安が募る


担任はゲンという国語科の先生で意外とイケメン―なんかレベル高そうな学校


しかも、黄色い声援みたいなものが聞こえてくる


「あの2人格好良くない」


「うんうん、ヤバイ!」


何がそんなに良いのかと、女の子たちが見つめる先に目を向ける


「黒髪の子がレッド君で、茶髪の子がグリーン君」


確かに他の人よりは格好良いとは思うけど、騒ぐほどでは無いと思う―その中でグリーン君は騒ぐ女の子たちに爽やかな笑顔とウインク

逆にレッド君は女の子たちに一瞥もくれず、ただ前だけを見つめていた―不思議だな、レッド君って


でも、私は仲良くできそうにない人たちだな


「あー、好きになっちゃいそうっ!」


キャーキャーとうるさい
こういうのは苦手だな、ちゃんと周り考えてほしい


「…うるさいなぁ」


隣の席で声がした、遠慮がちに見ると綺麗なロングヘアーの女の子が眉間に皺を寄せてうなっていた


「はぁー…ん?」


目があっちゃった

なんか、怖くなった




「うるさいと思わない?」


『…うん』


「よね!周りのこと考えて欲しいわ、ったく…あ、あたしはブルーっていうの」


『私は○○…ヨロシク』


「そう、○○ちゃんね、ヨロシク」


笑顔で手を差し出されて、無意識にこちらも手を差し出す―思ったより、優しい人なのかも








入学式から数日たって、私はブルーと1番仲が良くなった―っと言っても、ブルー以外に友達が少ない

周りの女の子はみーんな、レッド君とグリーン君を追い掛け回している


『まだ人気なんだ』


「あいつら昔っからね」


『ブルー知ってるの?』


「うん、幼なじみだし」


『えっ、知らなかった…』


「そりゃそうよ、幼なじみって知られたらあの女の子たちに何されるか分からないんだからー」


『そっか』


「○○はあの2人、気にならないの?」


『全く』


「あはは、そうよね、あんな奴等より格好良い人は山のようにいるんだし!」


ブルーと友達になれて良かったと思う、サバサバしていて気を使わないでいられる―つまり、自然体でいられて心が安らぐ








「ブルーさーん」


「…話し掛けんなよ」


「まぁ、そう言わずにさ、宿題見せてよ」


「自分でやりなさいよ!」


「いやー昨日もデートで、宿題する暇なかったんだ」


2人の会話を聞いていれば
やっぱりグリーン君は女の子タラしなんだって分かる


「取り巻きの女の子たちに見させてもらえば?」


「そんな格好悪いとこは見せられないなぁ」


「うっざ、どうしよ○○、こいつ殴って良い?!」


『殴るのは、ちょっと―』


「ん?この子は?」


「あたしの親友、手ぇ出したら殺すわよ」


「名前は?」


『…○○、です』


「○○ちゃんか、ヨロシクねっ」


何故か手をとられる


「○○に触るな!レッドに宿題見させてもらえば良いじゃない!」


「あ、そっか、レッド!」


女の子たちに囲まれて気分の悪そうなレッド君を呼ぶと、振り返った拍子に一瞬だけ目が合った


「!……なに、グリーン」


「宿題見せて!」


「……………分かった」


「何だよその間は!」


やっぱりグリーン君とは上手くいかなさそうだな


レッド君は…分かんないや







「○○ー!」


『ブルー』


「N先生がね、明日の放課後に花飾り作るの手伝ってだって」


『うん、分かった』




  


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