06
「○○せんぱーい!」
『ゴールド君、何か久しぶりだね』
「はい、卒業式に向けて色々と準備があって忙しかったっすよ」
『そうなんだ、お疲れ様』
「へへっ、あ、そうだ」
『ん?』
手のひらにはハート型の小さなチョコレートが2つ
「卒業祝いっす!」
『ありがたいけど、そんなに早く卒業してほしいの?』
「全然そんなことないっすよ!むしろ、もっといてほしいっていうか、何ていうか、その―」
『ふふっ、冗談よ、ありがとね、じゃあN先生の手伝いあるから、またね』
「あっ………残り6日かぁ」
「ほー、レッドの笑顔に惚れたと」
《好き》になった、あの日、をブルーに包み隠さず話した
『うん…何か優しいし』
「どこが」
『えーっと…どこって、ほら、あのー…ね』
そういえば私優しくされたっけ?
あの時は、そうだ
ピカチュウに優しくしてそれで、何か手握られ…て―
「…直観的とは、ほぼ一目惚れじゃない」
『そんなわけじゃっ!』
「はいはい、好きならそれで良いわ」
今日はちょっとした作戦会議という名目でブルーの家に来ている
『本当に協力してくれるの?』
「もちろんよ!でも相手が相手だからさ、下手すると一生目も合わず、話もせず終わることもあるってことよ」
あまりにも不吉なことを言われて怖くなる―そんなことになるくらいなら、ずっと友達で良いよ…その方が、寂しくない
「そろそろ夏休みだしさー」
『そうだよね、休みに入ったら会えなくなるし』
「いっそのことマサラタウンに引越してくれば?」
『無理言わないでよぉ』
「んー難しい、レッドの好きなものなんて知らないし―グリーンに聞けば好きなもの分かりそうだけど」
『グリーン君…か』
グリーン君に私がレッド君を好きって教えなくちゃいけなくなるんだ
あまり信用できないといえば、そうだ
レッド君好きの女の子たちの前で、うっかり口を滑らしてしまえば私は目の敵
今はブルーがいるから何とか学校生活を送っているけど、これ以上最悪になるのはゴメンだ
「…軽いのは、そりゃもう無重力ですかってくらい軽い男だけど、意外とちゃんとしてるとこもあるのよ、女の子を泣かすようなことはしないし、秘密は守ってくれるわよ」
そんなもんかな?と思うけれど、2人の幼馴染のブルーが言うんだから、そうなのかな?―そりゃあ、高校ではじめて会った私や、取り巻きの女の子たちより2人を知っているのは勿論の事
友達なんだから、信じてみようかな
『…う、ん』
「そうかそうか」
「………」
『………』
「話はしっかり聞かせてもらった、あっ、おばさん夕飯の買い物行ってくるから留守番頼むってさ」
「あーうん、分かった…ってぇ!何であんたがいるのよ!」
いつのまにやら
忍者のように気配もなく部屋に入ってきたグリーン君に驚く
「ねーちゃんから美味いっていうお茶貰ったからブルーにも、って」
「…ありがと、お礼言っておいて」
「おう、○○ちゃんもどうぞ、余ってるし」
『うん、グリーン君ありがとう』
「いえいえ、あ、それと、俺の名前呼び捨てで良いから」
『…うん、分かった、…グリーン』
「よし!それじゃあ作戦会議再開といきますかね!」
「お前が仕切るな!絶対にこの事周りに言いふらさないでよ!」
「大丈夫だって、ブルーだって俺のこと信用してんだろ?」
「…あー聞かれてたんならボロクソ言っておけばよかった」
「なにをー!」
「とにかく!○○を泣かせるようなことしたら、跡形も無くこの世から消すから」
「ラジャー!」
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