05
「○○顔真っ青」
授業中、ブルーが小声で話しかけてきた
『んー。あの…女の子の日で、血が―』
「保健室行ってきたら?」
『でも、残り5日なのに…もったいない』
「我慢して倒られる方がもったいないの、アロエ先生!」
「なんだい?」
「△△さんが具合悪そうなんで、保健室に連れて行っても良いですか?」
アロエ先生はちらりと一瞥をくれ、何か分かったように微笑んだ
「行ってきなさい。△△、無理しないようにね」
『…はい、すみません』
「失礼しまーす」
「どうしたんだい?」
保健室で待っていたのはダイゴ先生。ゲン先生やN先生などと同じく格好良くて、具合も悪くないのに保健室に訪れる女の子は多数。
「○○が具合悪くて」
「あらら。はは、○○さん顔真っ青だね」
『笑わないでください…うぅ、んー』
「生まれる?」
『生まれません!…っー』
「ダイゴ先生、いくら○○を気にいってるからって、からかわないでください、訴えますよ」
「大丈夫だよ、ほら、ブルーさんは教室に戻って」
「…はーい、なら○○、お昼休みにまた来るから、それまでゆっくり休んでおきなさい」
『うん分かった、ありがとうね、ブルー』
「いえいえ、じゃあね」
保健室を出ていくブルーを見送って、また痛みに顔をしかめる
「とりあえず横になる?」
『はい』
よくよく見ると、ベッドが1つ使われている
『うるさかったかな…』
「問題無いよ、ずっと寝てるし」
『具合悪いんですか?』
「いや、サボり」
『わぁ…昔の私みたい』
「○○さんは1年の3分の2くらい保健室にいたよね」
『あ、はは…すみません』
苦笑いしながら用意されたベッドに腰掛ける
「いや、僕の話し相手になってくれて楽しかったよ、…もう卒業なんて早いね」
『はい、卒業できるのは奇跡ですよ』
「僕は…まだ君に卒業してほしくないな」
悲しげにこちらを見るものだから、私は腰かけたベッドから思わず立ち上がった
『…ダイゴ先生は、みんなから好かれているんだし、寂しくないですよ、ね』
「うん、そうだね…寂しくない」
さっきよりも悲しげな表情をするもんだから、近寄って慰めようとすると、いきなりダイゴ先生は真面目な表情をしてこちらに歩いてくる―思わず後退りして再びベッドに腰掛ける状態に
「…○○さんは、寂しくないって…言うんですか」
私は見上げ、ダイゴ先生は見下ろす―逃げる選択肢は無く、頬に手を添えられる
『いや、寂しくないわけでは―』
「なら…もっと、ここに居て」
ダイゴ先生の片手がベッドに置かれ、ギシっとしなる
視線を逸らせずに、視界がボヤけていく―
『ふぅー』
肺いっぱいに溜めた息を、思い切りダイゴ先生の顔に吹きかける
「ん!…はぁー、もう慣れちゃったか」
あはは、と笑ってダイゴ先生は隣に腰掛ける
「最初は顔を真っ赤にして悲鳴上げたのにね」
『あれは酷かったです』
今のはただの挨拶というか
最初に保健室に来たのは、入学してから1週間ぐらいしてから―やっぱりクラスに馴染めず、さっきみたいにブルーに連れてきてもらったっけ
「あの時から、僕はきみに本気だったよ?」
気分が悪くてベッドに横になっていたら、いきなりダイゴ先生が寝込みを襲ってきたのだ
『ガーディのボールがあって良かったですよ』
でも、手持ちとして連れていたガーディがかえんほうしゃで撃退してくれて―
「まさか愛の告白をしようとした瞬間、丸焦げにされるとは思わなかったなー」
あはは、と2人で小さく笑う
『もとからダイゴ先生なんて好きじゃないですよ』
「うっ…傷付くなぁ、僕は一目惚れだったんだよ?」
『だって石が恋人じゃないですか』
「恋人って―」
『それに、毎日嫌でも女の子たちが来てくれるでしょ?』
ダイゴ先生は俯いて、んー、と黙ってしまった
「…それでもやっぱり、○○さんが来てくれなきゃ、寂しいよ」
私も寂しい、けど
辛い時はいつも保健室に逃げてきたから
ダイゴ先生はゆっくりと私に話しかけてくれて、すごく嬉しかった
『ダイゴ先生、私が好きな人いること知っているでしょ』
「うん、レッド君でしょ」
『っな、静かにしてください!』
ちらりと隣のベッドを見るが、起きた気配は無い様だ
「結局告白したの?」
『して…ない、ですけど』
「大丈夫なの?」
『大丈夫じゃないですよ…気持ち伝えられないまま、卒業だなんて―』
そういえば、今日はまだレッド君に会ってない―遅刻ってゲン先生に聞いたのに
「それなら、いっそ僕のおy『遠慮します』…はぁー」
「○○ー迎えに来たわよ?」
『んぅ…ブルー?』
「うん、ダイゴ先生にまたセクハラされた?」
「ちょっと、されたっていう前提?」
「当たり前じゃないですか」
『大丈夫、何も無かったよ』
「そう、なら良かった」
『あ、そうだ…レッド君来た?』
「それがさ、まだ来てないみたいなのよ。私たちは午前授業だけなのにさーサボりかよ」
『具合悪いのかな?』
「それはないわよ、あいつ風邪とか全く引かないから、真冬で雪降っても半袖だし」
『えっ…ある意味病気じゃないの?』
「まっそうね…っていうか、早く帰りましょ、家でゆっくり休んで」
『うん、えっと、ダイゴ先生…お世話になりました!たぶん保健室来るのは…今日で最後だから―』
「そう…だね、元気でやるんだよ、ブルーさんも」
「はい」
「また、何かあったら…ベッドを開けて待ってるからね」
爽やかな笑顔を浮かべているのに―
「…何か軽く変態発言じゃね?」
『ふふ、またいつか…来ますね』
ありがとう、と、さようならを言って2人で保健室を出た
「君は本当に幸せ者だね」
「…別に」
「好きだってさ」
「………」
「ちゃんと気持ち、受け止めてあげなよ」
「お世話になりました」
「…ゲン先生には僕から言っておくね、さようなら」
「さようなら」
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