聖夜祭-秘め事-



暗くなっていく窓の外の景色とは対照的に、白い照明が部屋を明るく照らす。
室内を満たす楽しげな曲に、心が浮き立つ。
そう、今宵は聖夜。
この部屋は、今から聖夜祭の会場になるのだ。

麗華は、ミニスカサンタ服を来て、ソファに身を預けていた。
隣には麗華の恋人、呉雨がいて、麗華の肩を軽く抱き寄せる。
周囲には既に多くの参加者が集まっていた。
けれど、麗華が妹のように可愛がっている彼女の姿はない。



「んもぅ、おっそいわねー!あーりんは一体何してるのかしら!」



麗華の視線の先には阿霖の恋人である月浪がいた。
彼は、此処に来てからずっと誰とも話さずにぼんやりと窓の外を眺めている。


「きっと、準備が忙しいんじゃないかな。ほら、女の子は支度が長いっていうからね」

「にしてもさぁ……」



それから後、待ち切れなくなった麗華が外に飛び出すのは言うまでもない。




「やぁ、これはアロマオイルだ」



プレゼント交換会をして、何となく皆がそれぞれの時間を過ごすようになってから数分も経たない頃。
麗華と呉雨はこっそり会場を抜け出して、小さなコテージに来ていた。
二人以外には誰もいない、ひっそりとしたその部屋で、プレゼントを開けた。



「は、ちょーシャレオツじゃん。それ、自宅エステに使うものなのよ。さては浅井かしらん」



呉雨の包みには、アロマオイルセットが入っていた。
大分本格的なもののようだが、初心者にもわかるように説明書が入っている。



「はは、それはいいね。麗華にやって貰おう」

「良いわよ、エステは専門外だけど、この美容には煩い麗華さんがキレーに塗ってあ、げ、る」

「それは嬉しいけど、麗華さんに体を触られるなんてドキドキして変な気持ちになりそうだよ」



麗華がウィンクしながら言うと、呉雨は茶目っ気たっぷりに微笑みながら、冗談なのか本気なのかわからない事を言う。



「これ、いやーんな気持ちになっちゃいそうな、甘〜い香りだもんねぇ!」



麗華もつい悪乗りをして、そんな事を言った。
続いて、麗華も包みを開ける。



「見て、昴。可愛らしいプレゼントが入ってたわ」



袋の中には、ふわふわの綿に埋もれる可愛らしい熊のぬいぐるみとピンクのリボンが入っていた。



「このリボンをぬいぐるみに巻けって事かしら?」

「きっとそうじゃないかな。ぬいぐるみにリボンを巻いてあげた日がそのぬいぐるみの誕生日になる、という話を聞いた事があるよ」

「へ〜かぁわいい。これくれたの、きっと女の子ね!間違いないわ」



麗華は熊のぬいぐるみの首にピンクのリボンを巻いて、綺麗にリボン結びをした。
これでこの子の誕生日は聖夜の日になったわね、と麗華が楽しそうに笑う。



「そうだね。来年も聖夜祭をするかも知れない。しないかも知れない。だが、その時にはこの子も連れていってお祝いしてあげよう」

「いいわね、それ。よし、この子の名前はスバルにするか!ねっスバル!」



そう言うと、麗華は熊のぬいぐるみにちゅっと口付ける。
それを横で見ていた呉雨は「はは、それはいいけど人間のスバルが寂しそうにしてるよ?」と微笑んだ。



「なぁに、アンタもして欲しいの?」

「そうだね、スバルくんだけじゃなくて昴にもしてあげてくれるかい?」

「んもぅ、しょうのない人ね」



何方からともなく腕が伸びてきて、二人は抱き締め合う。
長い長い、抱擁だった。
まるで少しも離れていたくない、とでもいうように。
麗華は呉雨の腕の中でそっと目を伏せる。

そう、二人の夜はまだ、始まったばかり。
しんしんと、夜は更けていく。



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