今度は不二咲さんが殺され、大和田くんが処刑された。悲しい嫉妬と、すれ違いがあったらしい。その辺のことは私にはよくはわからない。亡くなった人を悪く言う、死者を冒涜する、そんな気なんてない。が、それでも思う。ばからしいって。
くだらない嫉妬と安っぽいプライドのために、不二咲さんは死んだ。殺された。生まれ変わろうと強く決意した彼は、その第一歩を踏み出す前にこの世を去った。
それでも不二咲さんはきっと彼のことを悪く言わないのだろう。強くて頼もしくて憧れていた大和田くんが、本当は弱さを持っていたこと。それを知る前に死んでしまった。
なんて、呆気ないのだろう。
犠牲者を出して、また新たに行ける場所が増えた。学級裁判を開く度に行ける場所が増えていく、らしい。その度に皆で出られる場所を探した。だけれど、脱出の糸口は未だ見つからない。どこにもない。私たちは、ここからは出られない。……出るべきじゃない。
今日もまた、私は苗木くんの部屋に来ていた。暗い顔をしている苗木くんのことが気がかりだった、のかもしれない。
「根黒六中学校……」
「え? 雨咲さん、どうしてボクの出身中学の名前を知ってるの? あっ、舞園さんから聞いてた?」
「ううん。そこの制服を着てた子が、初恋の人だった。ただ遠くから見ていただけだけれど……一目惚れ、だったと思う」
「そっ……そう、なんだ……(……ボクと同じ中学に雨咲さんの初恋の人が。なんか複雑だな)」
彼の思考が頭の中に入ってくる。私はわかっていた。……彼の気持ちに、気付いていた。本当はずっと。そして、私もまた、彼に対して思っていることがあった。
「小さくて可愛い子だったな。苗木くんによく似てた」
「そ、そう……(さっきとは違う意味で複雑。自分であって欲しいとは思うけど、小さくて可愛いかぁ……)」
その初恋の人が、苗木くんのことなんだって。苗木くんはやっぱり気付いていないみたいだった。
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彼女は旅に出る。/AQUALOVERS