Walkure


.357マグナムには程遠い





.357マグナムには程遠い


「殺してやる、殺してやる、殺してやる」
わなわなと、言葉とは裏腹に、視線がぶれていく。
目の前には、憎くて憎くてたまらない男と、その叔母にあたる女が、重なるようにして倒れている。
――とどめを刺さなければ。
最愛を侮辱し、嬲った者に、最大の罰を。
そうするまで、私はこの世界から離れられない。
構えた銃を握り直す。
震えが止まらない。
問題ない、対象は死んだも同然なのだから。
私はそこに手を加えるだけ。
なのに、なのに。
がたがたと震えて、力が入らない。
呼吸が荒くなる。
「脇を締めて。じっと見据えるのよ」
どこからか、懐かしい声が聞こえる。
言われるがまま焦点を定め、引き金を引く。
乾いた音が、二度響く。
血飛沫が私のもとに飛ぶ。
完全に動かなくなる二人。
静寂の中、私の呼吸だけが残っている。へなへなとその場にくずおれる。
「真希を頼んだわ」
銃声とその声が、いつまでも耳に残っていた。






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