あの日見た夢を繰り返し見ている気がする。
そして私の世界に誰かが入ってくる。
いつもの電子音は聞こえない。
呟きのような囁き。
あの匂い。
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目を覚ますと、いつもの“仮眠室”のマットの上にいる。
いつもと違うのは、目の前で彼も眠っているということ。いつの間にやってきたのだろう。
不思議に思って手元の目覚まし時計を手に取ると、昼休みが終わる5分前に設定しておいたはずのアラームのスイッチが切られていた。時刻は5限目も半ばに差し掛かっている。
しまった、いつのまにか寝過ごしてしまったらしい。慌てて彼を揺すって起こす。
彼の寝顔を見るのは多分これが初めてだった。彼は私の寝顔が大好きだと言ってくれるけど、彼も大概端正な顔立ちをしていると思う。
「侑くん、起きて」
私の呼びかけに反応して、彼の目が薄っすらと開く。
「侑くん、アラーム勝手に止めたでしょ」
「そうやっけ?」
寝ぼけてて覚えとらんわ、ととぼける彼の頬を少しだけ抓った。
あの宣言以来、彼は少しだけ意地悪になった。それでも宮侑という存在を私は多分拒めない。
「もう5限始まっちゃった…………午後の授業寝ないために寝てるのに寝過ごしちゃったら意味ないよ」
これじゃあ仮眠じゃなくて過眠だよ、と不服を漏らせば、彼は薄く笑って私を見上げた。
「ええやんか、“過眠室”。二人でもうちょっとおサボりしようや」
そうやって我が物顔で入って来てしまうなんて、ほんとうにずるいひと。
「なぁ知っとるか」
「?」
「相手の匂いを本能的に好きになるのは遺伝子レベルでの相性の良さを表しとるんやって」
ああ、彼に落とされてしまうのも秒読み段階なのかもしれない。
“
過眠室
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