こんばんわーばっと。
夜はボクらワーバットの時間。お昼寝がガチ寝すぎて眠れなくなってるとかそんなことはないんだからね。晩御飯食いっぱぐれてるとか、そんなことないんだからね!!
「…………おなか、すいた…………」
「そんなこといいながら噛み付かれる方はたまったもんじゃないんですけどねぇ」
ふわりとしたの感覚の蜘蛛の腹に体を預けて、胸を合わせて……自分も豊かなほうじゃないけど、それよりも柔らかさの少ないその胸が、愛おしく感じる。
かぷり。と噛み付きながらおなかすいたなんて言えば、言われた方は命の危機を感じても仕方ない。お詫びと食べないという意思表意もこめて噛み付いていた鎖骨に舌を這わせる。
その後に、にへっと笑って誤魔化しておくのも忘れない。……でも、おなかすいた……
二人して上着は脱いで、体をくっつけていると何だろうなんとなく幸せって感じする。こうしていちゃいちゃする時間はいい。ゆっくりと求め合って、重なる心音。
……少し早い音はボクのものだろうか……それとも阿彌さんのだろうか?
どちらの音なのかわらない。
体温が重なる。重なったところからあったかく……熱くなっていく。じとりと汗が浮かんでくる。
阿彌さんも熱くなってくれてる……べったりと張り付く感覚も気持ちいい。
「ふぁ……あぁ、んっ……阿彌、さ、ん」
「……あ……紫、音……さぁ」
「よぉう。お楽しみのところ悪いなぁ」
まったく悪いって顔も声もしてない!!
阿彌さんが居候として生活することを許している人。
ボクのご主人様……ま、そう思ってても口になんて出さないんだけどね。
暁月のような弧を描いている月を背に担いで、同じような……くっとあがっている口角。ゾクンっと背筋に感じる感覚。この人が……立川さんがこんな風に笑っている時は、よくない事が起こる。ぜっっっったいによくないことが起こる!!
「……ボク……昨日、した……」
「あぁ、そうだなぁ。じゃ阿彌を借りて」
「ひっ」
ぎゅむっと抱きしめられるのはいいんだけど、阿彌さんの全力のしがみつきにボクの中身、出ちゃいそうです。
ぶるぶるしている阿彌さんを見に来たのかな?……それならもう目的は果たしてるはず……だけど……
お昼寝をたっぷりしたボク+阿彌さんvs昼から数ラウンド戦ってきた立川さん
これなら勝てるんじゃない?
搾り取れるんじゃない?
いけるんじゃない?
勝てるんじゃない?
二人でいけば……いける……
いける!!
忘れてませんか?ボク打倒立川さんを掲げてるんですよ!?
と、脳内シュミレーションを開始しようとしていた時だ。
「あぁ。紫音、初音が俺の蔵書にお菓子をこぼした」
「……へ?」
「大丈夫。初音は今お仕置き中だ」
「…………へ?」
「あの本を手に入れるのは、くろうしたんだがなぁ。よりにもよってそれに、うまい棒のカスをはさんでなぁ」
「……え、あ……」
「しかも問い詰めたらな、あいつなんていったと思う?」
言い訳したな。素直に謝るとか……いままで聞いたことがない。
そして、このタイミングでこの話題がくるってことは、なにをどう考えても…………
「母親の責任ってあるだろう?」
きたーーーーーーー!!
思っていたとおりの言葉いただきました!!
にたーっとあがる口角。あぁ、そう、そうだよ、この笑顔。この笑顔のときはもう絶対に大変なことになるんだよ!!ゾクゾクと走る寒気。
あ、これ、やばい……勝てるとか、そんな可能性微塵もない。ほら、めっちゃ楽しそうなオーラ背負ってんじゃん!!
ぎゅむぅ……と阿彌さんに抱きつくと彼女も震えている。二人でガクガクブルブル……
誰だよ!!
二人でかかれば勝てるとかそんなこといったやつ誰だよ!!
ボクだよ!!
そうだよ。勝てるはずないじゃん。相手鬼だよ。鬼!!
その後のことはよく覚えてない。
…………おなかはいっぱいになりました。
→
とある弓士のお話