後悔先に立たず(帝人)


今日は久々の休日。
この日の予定は既に前から決めてあった。

それは、眠る。
だ。



そ・れ・な・の・に!!!!!!






「はぁぁ今週のマミリンもやっぱり素敵です」


『…そーですね』


「はぁぁぁ、ほんとマミリンは素敵すぎます!」


『…………………』


「マミリンは舞台の仕事の時も“舞台役者になれ”と助けてくれたんです!」


『…………よかったね』


「はい!想像ではありましたが、マミリンのおかげで頑張れたんです!」


『……そうなんだ』


「あー!ワガママなのは分かりますが、マミリンに会いたいです!!」


『………………………』


「マミリン…」


『…また再生すれば?』


「…近くにいるのに?」


『……………』


「……………」


『…………………………』




…ん”…ん”ん”…ゴホン…




『ミラクルリンリン♪帝人くん!これからもお仕事頑張ってねっ』








『…これでいい?』


「トゥトゥ…トゥンク!!!!マミリン!!感激です!!頑張ります!!トゥンク!!!!」


『うっるさ!!!』


隣のテンション高い男を横目に溜め息を吐くがまったく気にしないのでそれにもまた溜め息が出た。

私の職業はスタッフさんたち制作陣が生み出してくれた者に声を吹き込む仕事、つまり声優だ。
ありがたい事に最近はアフレコにイベントなど忙しく過ごしていて、久々の休日だったのだ。

それをこの隣で騒いでいる男に言ったのが運の尽き。
家に押しかけてきたのだ。


「トゥンーーーークっっっっっ」


そして、その男。釈村帝人。B-PROJECTというグループでアイドルをやっている。
そんな男と所謂恋人関係にあるのだから人生なにがあるかわからない。


『…帝人さぁ、確かに私がマミリンやってるから似た声は出せるけど普段の私知ってるわけじゃん?なんか…素直にマミリン受け止められなくない?』


「え?それはどうゆう…」



普段の私は簡単に言えばマミリンとは真逆だ。あんなキラキラ女の子できるキャラではないし、口が悪い。
あれ…


『なんか、改めてマミリンと自分を比べたら何で帝人が私と付き合ってるのかわからなくなった』


「はい?」


『いや、私がさマミリンだけどマミリンじゃないわけじゃん?そう思ったらな「僕はマミリンが好きです」…知ってるけど……』


「でも、僕は名前とお付き合いしています」


『…うん?』


「マミリンは好きですけど、その前に名前が大好きなんです」


『!!』


「…おやおや、顔が真っ赤みたいですけど大丈夫ですか?」


『だっ誰のせいだと…!!』


「最近忙しそうでしたから今日くらいは仕事のことを忘れて、休日を楽しんだ方が良さそうですね」


『た、楽しむから!帰れ!!今すぐ帰れ!!!』



こいつ、普段はオタク全開のくせに急に直球なセリフを言ってくるから嫌だ!

つーか、じりじりこっち寄ってくんなよもー!!!!


「しかし僕は悲しいです」


『なんで抱きしめるの?!!』


「僕の愛が名前に伝わってなかったなんて…」


『伝わった!伝わったから!!』


「しかし、僕も伝える量が少なかったのも原因です…だから」


『だ、だから…??』








「今日1日“全身”で僕の気持ち感じてください」









『…ッ!!!???』


「僕と一緒に楽しみましょ?」


『帰れーーーーーーー!!!』





拝啓神様。
彼はただの2次元オタではありません。2次元オタの笑顔の裏側にドSで変態な姿を隠した男です。



少し前の私要らんことを口にしたせいで!!!
私の休日カムバァァァァク!!!!!!!




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