第1章 02

メリーカはハイラルの名門貴族の血筋を引く、いわゆる名家のご令嬢である。
蝶よ花よと大切に育てられた貴族のお嬢様は、思わず守りたくなるくらいおしとやかで慎ましく、日課は刺繍、日がな小鳥のさえずりのようなおしゃべりをしつつ優雅なティータイムを過ごしている――というのが世間のイメージだろう、おそらく。実際、そんな絵に描いたような令嬢も確かに知っている。
しかし、メリーカはそんな一般的な箱入りお嬢様とは随分かけ離れた存在だった。


「あとはこの庭園を抜ければゼルダ姫のいる中庭よ」


「そう……」